【ロンドン三沢耕平】英イングランド銀行(中央銀行、BOE)は2日、中期の経済見通しを示す報告書を発表し、2017年の国内総生産(GDP)の伸び率の見通しを昨年11月時点の1.4%から2.0%に引き上げた。欧州連合(EU)からの離脱交渉を巡る先行き不透明感から成長が鈍化するとしたこれまでの予測を大きく修正した。
金融政策は政策金利を過去最低の0.25%で据え置くことを決定。国債などを買い取って金融市場に資金を供給する量的緩和の枠は4350億ポンド(約62兆円)で維持した。
成長率予測が大きく変化したことについて、カーニー総裁は記者会見で「我々は個人消費の強さを過小評価していた」と説明。メイ政権が積極財政にかじを切ったことなどを挙げ、「消費者はEU離脱を巡る不確実性に影響を受けていない」と指摘した。
英経済は昨年の国民投票でEU離脱派が勝利した後も底堅さを維持し、16年10~12月期のGDPは0.6%増。ポンド安で観光消費や輸出が増えたことも影響した。ただ、ポンド安で輸入品を中心に物価上昇が続いている。現状以上の金融緩和に踏み切れば物価上昇が加速し、個人消費に影響する懸念も指摘されている。