その中で、特別条項を付けることで一時的、突発的に生じる限度基準告示を超えた時間外労働の延長が可能になる旨をお伝えしました。具体的には、年間で6ヵ月を超えない範囲であれば、1ヵ月45時間、1年間360時間等の上限を超えた時間数の設定ができるという内容となっています。
参照:東京労働局『時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引』(4ページ目「(4)特別条項付き協定について」)
ところが、今後はこの特別条項付36協定にも上限が設けられる見込みとのこと。このたび、厚生労働省で開催された「第6回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会」において配布された「論点の整理案」内に「時間外労働の限度」についての記述がありましたので、さっそく内容を確認することにいたしましょう。
キーワードは「一定期間における上限時間の設定」と「インターバル規制」
詳細は下記資料の5ページ目に記載があります。まずはご一読ください。
参照:厚生労働省『第6回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会 配布資料 論点整理(案)』(5ページ目「4. 規制の在り方について ①時間外労働の限度」)
資料によれば、近年形骸化しつつある36協定本来の目的や役割を回復するべく、長時間労働の歯止めとして機能するよう見直しを行うことが目指されており、具体的な方針として盛り込まれているのは下記2点です。
・特別条項付36協定における上限の設定
・前日の終業時間から翌日の始業時間まで一定の時間を保障するインターバル導入の推奨
・前日の終業時間から翌日の始業時間まで一定の時間を保障するインターバル導入の推奨
勤務間インターバル制度については、以前、新設助成金の記事の中でご紹介した通りです。
参照:『平成29年1月新設予定の助成金『職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース(仮称))』を知る!!』
特別条項付36協定の上限設定については、期間をどうするか、上限を何時間とするか、業種・職種・会社規模等実情に合った配慮について等、今後まだまだ検討されるべき事項がありそうです。上限の基準としては、厚生労働省の労災認定基準において俗にいう“過労死ライン”とされる「月80時間の時間外労働」がひとつの目安になるものと各所で予想されているようです。
しかしながら、個人的には、一定規模以上の大企業に50%以上の割増賃金率が適用される「月60時間超の時間外労働」が基準となるくらいでも良いのではと感じています。
「そんなことでは、実情に合わない!」とお叱りを受けてしまうかもしれませんが、このたびの検討会のテーマが『仕事と生活の調和のための時間外労働規制』ということですので、今まさに仕事と家事・育児に奮闘する身の上としては、日々このように実感させられているわけです。
いずれにせよ、今後の動向が大いに注目される話題であると言えましょう。このブログでも、新しい情報が入り次第、ご紹介していきたいと思います。