マティス国防長官きょう来日 強固な日米同盟の重要性確認へ

マティス国防長官きょう来日 強固な日米同盟の重要性確認へ
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アメリカのマティス国防長官は、3日から、トランプ政権の閣僚として初めて日本を訪れ、安倍総理大臣を表敬するとともに、稲田防衛大臣と会談することにしています。日本政府は、一連の会談を通じて、厳しさを増す地域の安全保障環境をめぐって認識を共有し、強固な日米同盟の重要性を確認したい考えです。
アメリカのマティス国防長官は、韓国に続いて3日から2日間の日程で、トランプ政権の閣僚として初めて日本を訪れ、夕方に、安倍総理大臣を表敬し、4日に稲田防衛大臣との日米防衛相会談に臨む予定です。

これについて、安倍総理大臣は2日、「アメリカが求めているのは、駐留軍の経費を払うだけでなく、日本の防衛は日本も努力してほしいということだろう。日本の役割は相当増えており、そういうことも含めてよく話をしたい」と述べました。
防衛省内では、アメリカの国防長官が政権発足後の早い時期に日本を含めた東アジアを訪れるのは極めて異例で、トランプ政権がアジア太平洋地域に関与する姿勢を示すものだとして歓迎する声が出ています。

政府は、一連の会談を通じて、北朝鮮による核・ミサイル開発や海洋進出を強める中国など、厳しさを増す地域の安全保障環境をめぐって認識を共有し、沖縄県の尖閣諸島に日米安全保障条約が適用されることなどを確認したいとしています。そして、トランプ大統領が選挙期間中、在日アメリカ軍の駐留経費の増額を求める考えを示したことなどを踏まえ、日米同盟の意義や双方の役割などについて率直に意見を交わし、強固な同盟の重要性を確認したい考えです。

トランプ大統領の発言への懸念払拭が狙いか

今回の訪問は、マティス長官の強い意向で急きょ決まったもので、日米同盟の重要性を強調し両政府間の共通認識を改めて確認することで、トランプ大統領が、選挙期間中に同盟国にさらなる負担を求める発言を繰り返してきたことなどへの懸念を払拭(ふっしょく)する狙いもあると見られます。
マティス長官は、日本訪問に先立ち韓国でパク・クネ(朴槿恵)大統領の職務を代行しているファン・ギョアン首相などと会談し、北朝鮮の核開発問題を安全保障上の最優先課題として取り組み、最新の迎撃ミサイルシステム「THAAD」を予定どおり年内に韓国に配備することを確認しました。
マティス長官は、北朝鮮とともに海洋進出の動きを強める中国にも強い懸念を示していて、こうした安全保障上の課題について日本側と意見を交わしたい考えです。

在日米軍駐留経費とは

日米安全保障条約は、第5条で、アメリカが日本を防衛する義務を規定している一方、第6条で、日本の安全と極東における国際の平和と安全の維持のため、日本国内の施設や区域を使用することをアメリカに認めています。

防衛省によりますと、日米安全保障条約に基づいて、日本に駐留しているアメリカ軍の兵士は、去年9月現在で3万8700人余りで、このうち、海兵隊が最も多く1万3500人余り、次いで、空軍が1万1500人余り、海軍が1万1000人余り、陸軍が2700人余りとなっています。

日本政府は、日米地位協定に基づいて、日本に駐留するアメリカ軍に基地を提供するため、民間の土地を借りる費用や、騒音対策といった基地の周辺対策費などを負担しているほか、おおむね5年ごとにアメリカ側と特別協定を結んで、いわゆる「思いやり予算」として、基地で働く従業員の給与や光熱費の一部などを負担しています。

防衛省によりますと、日本が負担している在日アメリカ軍に関係する経費は、基地などとして提供している国有地の価値を試算した結果も含めて、平成28年度は、7600億円余りと見られるということです。平成28年度の当初予算では、「思いやり予算」が1920億円で最も多く、次いで、民有地の借料などが1852億円、沖縄に駐留する海兵隊のグアムへの移転など、アメリカ軍の再編に関する経費が1766億円、などとなっています。

一方、アメリカ国防総省の報告書によりますと、2002年の駐留経費で、日本側が負担している割合は74.5%となっており、韓国やドイツなど、アメリカ軍が駐留している国の中では最も高い割合となっているということです。

日本の防衛費 各国のGDP比は

政府は、防衛力の整備にあたって、専守防衛の堅持などの基本方針を掲げていて、昭和51年には、年度ごとの防衛費がGNP=国民総生産の1%に相当する額を超えないようにすることを閣議決定しました。
しかし、アメリカからの増額要求などを背景に、昭和61年に、いわゆる「GNP1%枠」を適用しないことを決め、向こう5年間の防衛費の総額を定めた「中期防衛力整備計画」に基づいて、防衛費は、昭和62年度から3年連続でGNPの1%をやや上回りました。
 
その後、冷戦の終結などを背景に、防衛費はGNPの1%を下回り、GDP=国内総生産と比較するようになったあとも、平成22年度に1%をわずかに上回った以外は、1%を下回っています。
今年度(平成28年度)の防衛費は、当初予算で初めて5兆円を超えましたが、GDPに対する割合は0.97%で、新年度(平成29年度)予算案では0.93%となっています。

防衛省によりますと、各国の国防費のGDPに対する割合は、2014年度で、ロシアがおよそ3.5%、アメリカがおよそ3.4%、韓国がおよそ2.4%、イギリスがおよそ1.9%、中国がおよそ1.3%などとなっています。また、アメリカやイギリス、フランスなど28か国が加盟するNATO=北大西洋条約機構は、今後、加盟国の国防費をそれぞれGDPの2%まで増額することで合意しています。