選評:想像を膨らませてみる。オナニーが終わった瞬間、SMAP5人のあの有名で、優しさに満ちたハモリ、「ナンバーワンにならなくてもいい~♪」が聴こえてきたとしよう。オナニーが終わった直後、少しの幸福感と達成感、そして徐々にのしかかってくる徒労感と虚無感を抱えた私たちはこの時少し遅れて「え?」と反応する。するとすかさず次のフレーズが耳に入り込んでくる。「元々特別なオンリーワン♪」…そしてあの日常生活に寄り添うには少し過剰とも言える多幸感のあるイントロへとつながっていく。そう私たちはこの時理屈ではなく感覚で理解する。「許された」のだと。「肯定された」のだと。このように、我々が何百回聴いたかわからないあの曲もオナニー後の瞬間にはすべてを肯定する讃美歌へと変わる。そう、その時ある種刷り込みにも似た知覚を発揮し、すべてを肯定するあの歌詞、メロディー、音はオナニー直後の私たちに澄みきったまま直感的に語りかけてくる。これこそ音楽というもののプリミティブな快感を体感できる瞬間なのだ。『世界に一つだけの花』が最も似合うシーンの一つと言っても過言ではないだろう。