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【正論】
米軍撤収、北と統一…「赤化の悪夢」が蘇るのか 韓国が急速におかしくなった理由とは 東京基督教大学教授・西岡力
主催者発表で100万人が集まったという昨年11月12日のソウルのデモは、警察が占拠された道路面積から計算して26万人だった。つまり4倍も多く発表されているのだが、テレビと新聞は「百万民心」が朴槿恵大統領退陣を求めたと繰り返し報じた。
「百万民心」の「誤報」は国会が弾劾訴追を行った12月初めまで続いた。11月26日は主催者発表150万人(警察発表27万人の5倍以上)、12月3日は主催者発表170万人(警察発表32万人の5倍以上)-と大々的に報じ続けた。
特に弾劾訴追直前の12月3日には、ソウルの170万人に加えて地方でもデモがあり、全国で200万人以上が集まったと報じた。もちろん警察発表の数字も記事中にはあるが、見出しや社説などで「百万民心」と書くのだから「誤報」と言うべきだろう。
≪「誤報」引用し大統領を糾弾≫
この「誤報」に与党セヌリ党が動揺した。そもそも、国会は検察の捜査では不十分だとして「特別検察官」を任命し、その捜査が始まったばかりのタイミングだった。憲法上、国会が議決できる弾劾訴追は重大な憲法違反や法律違反があった場合に限られており、政治責任を問うことはできない。内閣不信任決議との大きな違いだ。従って、少なくとも自分たちが任命した「特別検察官」の捜査結果が出るのを待って、訴追にあたるか否かを審議すべきだった。