新作に込めた思い “鬼才”映画監督に聞く

新作に込めた思い “鬼才”映画監督に聞く
k10010861981_201702021621_201702021849.mp4
今週末に公開される映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』不思議な能力を持った子どもたちが登場します。監督はこれまでも“奇妙な”世界を作り上げてきたことで知られるティム・バートンさん。どんな思いでこの映画を作ったのか、伺いました。
映画『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』 物語の主人公は、学校にも家族にもなじめない孤独な少年、ジェイクです。祖父が謎の死を遂げ、遺言にしたがって、イギリスの孤島を訪れたジェイク。そこで出会ったのは、「ミス・ペレグリン」という不思議な女性のもとで暮らす、子どもたちでした。子どもたちは、それぞれが不思議な力を持つがゆえに、世間と関わることなく、ミス・ペレグリンの屋敷で過ごしていました。

ティム・バートン監督に新作の奇妙な世界観がどこから生まれてきたのか、聞きました。

(芳川アナウンサー)
「これまでのあなたの映画の登場人物は、周りと違っていたり、社会から孤立したりしています.なぜでしょうか?」。

(ティム・バートン監督)
「そう感じながら私が育ったからです。私は、自分を異邦人のように感じていました。育った場所であっても、その社会に属していないような疎外感です」。

監督自身が感じてきた「自分は周りとは違う」という疎外感。これまで作り上げた多くの作品で、テーマとなっていました。1991年公開の、映画『シザーハンズ』。両手がハサミのままで未完成の、人造人間の物語。人と違うがゆえに孤独になっていく主人公を描く、ティム・バートン監督の代表作です。今回の作品の子どもたちも、その性質や能力のため、世間から受け入れられずにいた存在です。監督は、子どもたちの能力は、特徴や体質に近いものだと語ります。

(ティム・バートン監督)
「彼らはハリウッド映画のヒーローのXメンとは違って、変わった、奇妙な力を持っているだけなのです。それは特徴でしかなく、基本的に彼らはただの子どもです。それがこの作品の魅力です」

不思議な力や性質を抱えながらも、穏やかな毎日を過ごしていた子どもたち。ところがミス・ペレグリンが、ある男に捕らえられたことをきっかけに、日常は大きく変わります。子どもたちと力を合わせて戦う、ジェイク。
みな、守られるだけだった立場から、一歩踏み出します。ミス・ペレグリンを救い、敵を打ち倒そうと、閉じこもっていた島から出て行くのです。

(芳川アナウンサー)
「今回、こどもたちは、隠れたり逃げたりせず、敵に立ち向かうことを選びますよね?」

(ティム・バートン監督)
「ヒーローではない普通の子どもたちでも、時にとても強くなれます。自分の奇妙さを受け入れて生きようとしたのです。自分が周りと違う、変わっていると思うと、少し悲しくなります。ですが、他人と出会って、彼らにも奇妙な部分があるのだとわかれば、楽になります。私は、そうやって受け入れるのに時間がかかりましたが、みんなそれぞれがそれぞれに“奇妙さ”を持っているのです」

ティム・バートン監督は、幼いころから、日本の特撮映画が好きで、特にゴジラがお気に入りだそうです。当時、周りの子どもたちにそういった映画が好きな人は少なく、それが幼少期の疎外感につながったと思うと話していました。