教育現場での視察では、まずはICT教育の実態を視察させて頂きました。
タブレットやインターネットなどの情報通信技術を用いた教育現場では、1人1台のタブレット端末が今までの教科書とノートに代わる日々の勉強ツールです。家庭でもタブレットを使い予習はしますが、このような新しいツールにただ飛びついただけの教育手法ではありませんでした。ポイントはタブレットだけで完結させるのではなく、必ず書き出しの作業を伴うワークシートがセットになっているそうです。
この点、タブレット画面を眺めているだけでは、全てを記憶し理解したように思えても、書き出しの作業を経ないとやはり定着しないことは、受験時代の英単語や歴史の年号記憶などでも経験済みでだと思います。
予習し、授業が終わったら、今度は復習。このように、自分の理解度に合わせたペースで勉強できます。個人個人が自己の弱点に向き合いつつ、発展的な授業が行われていました。
不登校対策では、リクルートスタディーアプリを使い、家庭にネット環境がない世帯でもモバイルルータを貸し出すことにより、在宅で勉強に取り組んでもらえるようになっています。特別支援授業でもネット環境をフル活用されているそうです。
官民一体型学校「花まる学園」の一般開放日であるオープンデーの視察もさせて頂きました。民間塾である花まる学習会のノウハウを融合し、公教育のより一層の充実を図った授業が行われていました。
朝8時20分から15分間、四文字熟語・計算問題の演習や、キューブを使ったりフラッシュカードを暗唱したりと、かなり早いテンポでルーティーンが進められて行きます。単純作業とは言えこの小さな積み重ねが、目の前の案件をなんとか処理しようという意欲を促し、素晴らしい結果へと結びつくのだろうと感じました。
私も実際にキューブを子どもたちと一緒にやらせて頂きましたが、まるでチンプンカンプン!挙句の果てには小学1年生に教えて頂くという惨憺たる結果に。笑
しかし、子どもたちにとっては、分からない人を助けてあげることで自分の理解も深まります。また、4人1組のチーム作業なので、自分だけがよければそれでいいということには決してならず、困っている人を助け・自分も助けられ、というお互いさまの助け合い精神も学べる、素晴らしい取り組みでした。
そして、採点には地域のボランティアの方が、週4日、朝の15分、14名の方がご協力下さっています。
青空教室では、学年の壁が取り払われ縦割り班単位で授業が行われていました。高学年のお兄さんお姉さんがリーダーシップをとることで、下級生への指導を通じて相手を思いやる心・忍耐力・伝達力などが大いに培われていくさまを目の当たりにしました。
今回の学習視察では、どの現場においても、子どもたちがイヤイヤ勉強するのではなく楽しく生き生きと学んでいたことが、とても印象に残りました。
なお、この佐賀県武雄市で学んだ子どもたちは、一度は県外へ羽ばたくケースも多いかもしれません。が、仮にそうだとしても、ここで学んだことや学びの姿勢を決して忘れず、将来、武雄市に貢献する大人となって戻って来る子どもたちが、今、確かに着実に育まれているように感じました。
また、今回の武雄市視察全体を通じ、『蔦屋図書館』=武雄市図書館の例を初めとして、多くの参画企業が社会貢献も企業設立目的として重要なことであるという強い認識の下、採算度外視かつ無償に近い形での行政サービスのバックアップとサポートを現に行っていることを知りました。
さらに、地域社会全体で子どもたちを育てようとする数々の積極的な取り組みは、大阪市でも是非やりたいと思えるものであり、収穫たっぷりの今回の視察でした。