設計と開発の違いを明確に語れる人はどれくらいいるのでしょうか。モノづくりにたずさわる仕事がしたいと、ぼんやりと考え始めた段階で、モノづくりの中のどの工程に興味があるのかを考えたことはありましたか?
[ Title : 影ハト 2017年1月 ]
[ Camera : Nikon D700 ]
[ Lens : Nikon AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G ]
設計開発業務の残業時間の記事を書きながら、設計業務と開発業務の違いに少しだけ触れました。 残業時間の量は、業務内容の影響を多大に受けていますからね。
自動車から食品にいたるまで、モノづくりメーカーに就職を希望する人がたくさんいます。ひと言にモノづくりと呼んでも、その工程は0から100まであって、その全景がおぼろげながら見えてきたのは、働き始めて2年くらいが経ってからでした。
市場の動向を予想する人達、材料メーカーから材料を仕入れる人達、現地で工場を作る人達、品質を管理する人達など、入社する前は全く見えていなかった仕事の存在を知りました。
また、設計開発とひとくくりにされていた業務内容にも設計と開発に明確な違いがあって、そこは分業制になっていることも分かりました。もちろん、横ぐし的に横断されて働いている人達もいましたが。
開発の仕事
開発という名前がつく仕事があります。研究開発とも呼ばれていました。文字通り、「実用化できるかどうか分からないけれど、こんなのできたらすごいよね」という技術の研究と開発を行います。
ここでいう技術というものは、地球上の自然現象に基づいた法則を有効に利用して、生活が便利になるような仕組みのことを表します。
例えば、例は古いけれど「電球の発明」だとか。長時間の発熱と発光に耐えうる素材に関する研究が繰り返された結果、フィラメントが開発されました。
一方で、
すごい技術だけれどお値段が高すぎてコスト的に実用的ではないから値段を下げる研究が行われていたり、すごい技術だけど品質管理が難しすぎて実用的ではないから安定して生産できるような研究が行われていたりします。
この辺は会社によってそれぞれだと感じました。技術展示会などで、いろんな会社の人と話をすると、技術や研究、開発という言葉に対する認識の違いを感じることができます。
開発に向いている人
諦めない人
研究者というと、フラスコを片手にボコボコやっている人達を想像されるかもしれません。どのフィラメントが長時間の発光に耐えうるのかを、順番に試している姿を想像してもいいですね。
まさに、研究とはこんなイメージに近くて、試行錯誤の連続になります。そして、上手くいかなくて諦めたらそこで試合終了になります。だから、諦めない人が向いています。
諦めない人には理由がちゃんとあります。失敗を失敗だと思わない。なぜ上手くいかないのかを失敗から学ぶ意志を持たないと、次のトライができませんよね。
気がつく人
次のトライをするにも、失敗の中から失敗の原因を適切に見つけ出さないと、また同じ失敗を繰り返してしまいます。だから気がつける人になる必要があります。それも”適切”に。
起こっている状態に対して広範囲にアンテナをはれる人というイメージかもしれません。
物事をフラットな視線で観察できることや、落ち着いて深く考えることが必要になります。それらをもって次の新しいことに挑戦できる人が、この開発という仕事に向いていると思います。
設計の仕事
設計の仕事は、開発された技術を製品に落とし込む業務になります。実際に大量生産が可能なように工程を意識した作り込みを行ったり、品質管理が容易なように形状を作りこんだり、技術を実現するめに必要な要件を製品に落とし込みます。
こうやって書いてしまうと簡単そうに聞こえてしまうかもしれません。しかし、そもそも技術が未完成の状態で設計が始まったり、小型化は設計部の仕事であったりと、そんなに簡単ではありません。
同業他社のスペックを飛びぬけるためには、さらなる高速化など機能の特化が必用だったりとか、そいういう話はざらにあります。ようするに、単純にできあがった技術を組み合わせるだけではないんです。
また、業界の恒例行事としてモデルチェンジが毎年行われているような製品の場合は、どうしても発売日という納期に追われることになります。基本的に毎年同じことが繰り返されています。
設計に向いている人
全体を見渡せる人
あれもこれもそれも、製品が確実に動作して機能するためには、材料のことから製造工程のことまで、多くのことを考慮する必要があります。
だから、全体を見渡す力を持った人が向いています。こっちを立てればあっちが立たず、なんてこともしょっちゅう起きます。観察力も必要かもしれません。
全体を見渡すといっても能力に限界はあるので、1つ1つの物事を整理してきっちりと1つずつ片付けていく力が必要になります。
スピード感がある人
納期に追われて仕事をすることになります。やらなければならないことが、たくさんあります。迷っても立ち止まらずに行動できる人が向いています。迷ったときに立ち止まって考えることも必要ですが、そこで止まってしまう人は、スケジュール管理の面で向いていないと思います。
考えた結果、なんらかの選択をしなくてはなりません。これが苦痛にならない人が向いています。
好きな人と向いている人の違い
いくつかの向いている人の例を挙げました。諦めない人、気がつける人、スピード感がある人、全体が見渡せる人など。
面白いところは、例えば自動車が好きな人だとか、冷凍食品が好きな人が、設計や開発に向いているかと言われたら、そうでもない気がするところです。
いくら冷凍食品が好きですと言ったところで、すぐに諦めてしまう人は冷凍ピラフの研究の仕事には向いていないと思うんです。
理系を選んだ人って、数字が好きだとか、自然科学が好きだとか、そういう好きっていう発想や、化学が得意だったとか、物理の点数が高いとか、得意だったという発想で、理系を選択する人が多いのではないでしょか。
反対方向から見れば、数字がまったくもって受け付けなかったからという理由で文系を選択する人も多いと思います。
だけど。
仕事をしてみて感じたことは、「好き=向いている」というわけではないということです。「得意=向いている」というわけでもありません。
仕事の適正と、仕事の好き嫌いは別のものです。
好きなことだから仕事をしていてもつらくないという人がいます。もちろんそういう人もいると思います。
得意とは言い難いし、上手くもいかないけれど好きなことだから仕事にしています。こういう人もいます。
好きとは言えないけれど、なぜか他の人よりも上手にできるから仕事になりました。こんな人もいます。
僕は、次の仕事は適正を判断基準に選んでみようと考えています。そのためには、自分の適性を知る必要があります。見極める必要があります。さて、どんな結果がでるのでしょうか。