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【芸能・社会】

藤村俊二さん死去、82歳 心不全 おヒョイさよなら

2017年2月2日 紙面から

“おヒョイ”の愛称で親しまれた藤村俊二さん

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 コメディアンや俳優などマルチな才能を発揮し“おヒョイ”の愛称で親しまれたタレントの藤村俊二(ふじむら・しゅんじ)さんが1月25日午後8時45分、心不全のため静岡県御殿場市の病院で死去した。所属事務所が1日、発表した。82歳。神奈川県出身。葬儀は同日、近親者や一部の芸能関係者のみで行った。14日正午から東京都渋谷区神宮前6の25の12、慈雲山長泉寺で「献花の会」を開催する。喪主は長男亜実(あみ)さん。藤村さんは体調不良で、2015年にテレビ番組のナレーションを降板し引退したともいわれていた。

 藤村さんの長男で所属事務所社長の亜実さんは1日夜、東京都内で報道陣の取材に応じた。亜実さんによると、藤村さんは15年10月に小脳出血で倒れたといい、さらに去年の夏くらいから肺炎を繰り返し少しずつ容体が悪化していった。入院していた千葉県内の病院から昨年4月に静岡県内の病院に転院、そこで息を引き取った。最期は亜実さんだけがみとった。亜実さんによると、藤村さんは妻・みか代さんと13年12月に既に離婚したという。

 藤村さんは早稲田大文学部の演劇科を中退後、東宝芸能学校に入学。モダンバレエやタップダンスを学び、日劇ダンシングチームを経て振付師に転身した。

 ザ・ドリフターズのTBS系人気番組「8時だョ! 全員集合」のオープニング「エンヤーコラヤ ドッコイジャンジャン コーラヤ」の部分の振り付けを担当。「全員集合」でエキストラ出演を依頼されることも多かったが、それが嫌で「ひょい」と逃げたことから「おヒョイ」のあだ名が付いたという。

 軽妙でとぼけた雰囲気が人気を集め、コメディアンや司会者としても活躍。バラエティー番組「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」にレギュラー出演して評判を呼び、「サンデー志ん朝」「カリキュラマシーン」などで茶の間の人気者となった。

 俳優としてはドラマ「総理と呼ばないで」「笑ゥせぇるすまん」、映画「ラヂオの時間」、舞台「用心棒」などに出演。「ぴったしカン・カン」「なるほど!ザ・ワールド」など、クイズ番組の解答者としても親しまれた。著書に「オヒョイのジジ通信」などがある。

 日本テレビ系「ぶらり途中下車の旅」の2代目ナレーションを11年10月1日放送分から務め、計203回担当。体調不良で途中、代役を太川陽介らが務めたこともあった。15年12月に俳優の小日向文世と交代することが発表された。このころ、みか代さんが週刊誌の取材に対し、藤村さんが体調を考慮して芸能界から引退したなどと発言し注目を集めた。

◆豪華「昭和九年会」メンバーまた一人…

 藤村さんは昭和9(1934)年生まれの芸能人が集まった親睦会「昭和九年会」のメンバーだった。同会には大物俳優ら豪華な顔ぶれがそろっていたが、また1人個性派が姿を消した。

 愛川欽也さんと長門裕之さん(いずれも故人)が発起人になり、76年に結成。毎月9日に藤村さんが経営していたワインバーで例会が開かれ、毎年9月9日にはイベントも開催していた。

 現在は財津一郎(82)、宝田明(82)らがメンバー。亡くなった石原裕次郎さんや大橋巨泉さん、坂上二郎さん、牧伸二さん、山本文郎さんらもメンバーだった。そのため、藤村さんは多くのメンバーを見送ってきた。2011年5月には東京都内で開かれた長門さんの通夜に出席。長門さんはその2年前に、女優で妻の南田洋子さんを亡くしていることから「洋子ちゃんのところへ早く行きたかった、自分で望んで行った気がします」としのんでいた。

 同会メンバーの1人で女優の中村メイコ(82)は1日、所属事務所を通じてコメントを発表した。「あの人らしく、絶対知らせないで。静かに…今にも亡くなるだろうというのは心にあったんですけど」と気にかけていた様子。「とてもジェントルマンでした。日本人には珍しい感じの人だったんじゃないかなと思います。ベストドレッサーで、おしゃれで。女に弱くて。しょっちゅう恋人代わって。飲んだり遊んだりする時には、嫌みのない、すてきな男の子でした」と人柄を振り返った。

 同じくメンバーで俳優や声優として活躍する森山周一郎(82)は「あだ名の通り、ヒョイヒョイしていてひょうひょうたる人生だったと思う。何にもとらわれず、わが道をいっていたのがうらやましい。プライベートで最後に会ったのは4、5年前にやった九年会。『実に見事に生きたね』と言いたいです。うらやましい、素晴らしい人生だったと思います」と語った。

◆仲良しキンキンと天国でも楽しくね

 ▽故愛川欽也さんの妻でタレントうつみ宮土理(73) 「おヒョイさんの訃報を知り、さみしくつらい気持ちでいっぱいです。おヒョイさんとキンキンは本当に仲良しでした。ワインが好きでワインバーまでオープンしたおヒョイさんのお店にお酒の飲めないキンキンがうれしそうに通っていた姿が思い出されます。本当に私にとっては『お兄さん』と呼べるひとでした。天国でキンキンと仲良くしてね」

 ▽番組で共演経験のある落語家桂文枝(73) 「いろいろと番組で一緒させていただきましたが、なんといっても『クイズ年の差なんて』で一緒させていただいたのが思い出深いです。さすが元ダンサーだけあって、スマートでかっこよく、とにかく全てがおしゃれでした」

 <藤村俊二> 1934(昭和9)年12月8日生まれ、神奈川県鎌倉市出身。日劇ダンシングチーム12期生として60年に渡欧したがレベルの違いに驚き舞踏家の道を断念。帰国後は振付師に転向。多数のバラエティー番組や、ドラマや映画などに出演。私生活では61年に結婚したが95年に離婚。翌年、当時タレントだった長尾みか代と再婚するも13年12月に離婚。東京・南青山でバー「オヒョイズ」を経営していた(10年に閉店)。

 

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