韓国大統領選:潘氏不出馬宣言「旧態依然の韓国政界に失望」

1日午後に緊急会見
「利己主義的な政治家に失望、一緒に歩むのは無意味」
次期大統領選は混乱必至

 潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が1日、韓国次期大統領選への不出馬を宣言した。韓国に帰国した1月12日に「政治交代」を訴えて大統領選出馬への意欲を示し、出馬に向けた活動を開始してからわずか20日のことだ。潘氏は帰国直前まで、「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)前代表と支持率1、2位を争っていた。有力候補を突然失った保守勢力は混乱に陥っている。一部では潘氏の不出馬を機に韓国政界の中道・保守勢力に大きな地殻変動が起きるのではないかとの見方が出ている。また、保守層が統一候補擁立で再び結束するとの観測も出ている。

 潘氏の不出馬宣言は電撃的だった。この日午前まで潘氏は国会で与党系の代表らと面会するなど通常通りスケジュールをこなしていた。会見30分前も野党代表と会っていた。しかし午後3時30分、国会で自ら開いた緊急会見で「自分が主導して政治交代を成し遂げ、国家統合を実現するという、純粋な気持ちを引っ込めることを決めた。理解してほしい」と述べ、大統領選挙への不出馬を宣言した。

 潘氏は「私の純粋な愛国心と抱負は、人格殺害に近い攻撃を受け、さまざまな虚偽のニュースによって政治交代の大義名分を失い、むしろ私個人と家族、そして国連の名誉に大きな傷だけを残すことになり、国民に大きな迷惑をかけた」と述べた。

 潘氏はまた「一部の政治家の旧態依然とした偏狭な利己主義的態度にも非常に失望し、そうした人たちと一緒に歩むのは無意味だと判断するに至った」と述べ、これまで接触した韓国政界と政治家を批判した。潘氏は改憲を主張する与野党の「第三勢力」と主に接触し、連携を模索していた。

 潘氏の不出馬宣言で、次期大統領選の前倒しを予想して動いていた政界は大きな衝撃を受けた。突然有力候補を失った保守勢力はパニック状態に近かった。

 保守系陣営では、与党セヌリ党から分離した「正しい政党」のユ・スンミン議員と南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事が出馬を宣言し、セヌリ党は黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行首相に間接的に大統領選出馬を打診している。しかしこの3人はいずれも支持率が1桁止まりである上、黄教安氏は現実的に出馬が困難だ。そのため保守勢力の中で「代表選手」の座をめぐって新たな戦いが始まる見通しだ。さらに、「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)議員は、潘基文氏の支持層が中道寄りの自分の支持に回り、支持率の高い文在寅氏と事実上の一騎打ちになることを期待している。潘氏の不出馬が中道と保守の危機感をあおり、中道・保守政党の大連合の触媒として作用するとの見方もある。

 共に民主党では文在寅氏が優勢との見方が強まっているが、同党の安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事が、潘基文氏の地元・忠清道地域での「忠清道から大統領を」の熱気を引き継ぐ形で民主党の党内候補者選に出馬する可能性も残っている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者
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