ビショフと電話会談を持った翌朝(11月1日)、ブレットはビンスの自宅に電話をかけ、WCWから正式に契約のオファーがあったことを伝えたあと「これはギャラをつり上げるためのかけひきではない。オレはWCWには行きたくない。ただ、これから3年間、アンタがオレをどう使おうとしているのか、そこを知りたい」とビンスに返答を求めた。
同日、午後9時過ぎにブレットの携帯電話にコールバックしてきたビンスは「キミはWCWに行ったほうがいい」とブレットに伝えた。このとき、ブレットは1年まえに交わした“20年契約”が守られない約束だったことを確信してしまった。
ブレットは11月3日にWCWとの契約書にサインをし、11月いっぱいはWWEの日程を消化するつもりでいたが、11月4日の時点で「ブレットがWCWと契約」というニュースがインターネットに流れた。ビンスがコントロールできないサイバー空間で情報が勝手に独り歩きしていた。ブレットはチャンピオンのままWWEを去ることを望んだが、ビンスはそうはさせないと考えた。(つづく)
斎藤文彦