早稲田大ジャーナリズム研究所(所長・花田達朗教授)の調査報道機関「ワセダクロニクル」は1日、共同通信が配信した脳梗塞(こうそく)予防薬の記事の見返りとして、広告最大手・電通の子会社からPR業務をしている共同通信の子会社に現金55万円が支払われたとする内容をウェブ上に公開した。共同通信は「重大な事実誤認がある」として抗議文を出したことを明らかにした。
「買われた記事」と題した報道によると、共同通信が2013年に脳梗塞予防薬を扱った記事を配信し、一部の地方紙が掲載。記事は特定の薬を名指ししていないものの、記事に寄せた談話で、特定の会社の薬剤を事実上推奨する内容だという。記事が配信された時期に、電通子会社から共同の子会社に「媒体費」の支払いがあったとする。
ワセダクロニクルは「命にかかわる薬の記事をめぐってカネが動いていた」と批判した。
共同「事実誤認」
共同通信は毎日新聞の取材に対し「PR業務をしている子会社から紹介を受けた中で、編集局が報じる価値があると判断したものを執筆し配信した」と説明。そのうえで「当社の業務について重大な事実誤認があり、抗議文を出した。共同通信と執筆者は対価を受け取っておらず、『買われた記事』の表記は事実を歪曲(わいきょく)している」とコメントした。【青島顕】