韓国の文化財窃盗団が長崎県対馬市の寺から盗んで韓国に持ち込んだ高麗時代の仏像「観世音菩薩坐像」について、本来の所有者とされる韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)への引き渡し手続きに「待った」がかかった。太田高検は、浮石寺が仏像引き渡しを求めて起こした訴訟で26日に寺側の訴えを認める一審判決が出ると、直ちに控訴。太田高検は同時に、強制執行の停止を申し立てた。
大田地裁は1月31日、検察の申し立てを認め「控訴審の結果が出るまで引き続き文化財庁が仏像を保管するように」との決定を下した。
検察は「政府機関で仏像を保管するのが、盗難・紛失・毀損(きそん)を防ぐに当たって最も望ましいと考える」とした上で「仏像を寺に引き渡せば、今後の控訴審で一審判決が覆った場合、仏像を回収することが困難になる可能性も考慮した」と説明した。浮石寺側はこの決定に遺憾の意を表明し、仏像引き渡しの強制執行を申し立てる意向を示した。
1330年に制作された観世音菩薩坐像は、1526年ごろ日本に渡り、対馬市にある観音寺に奉安されていた。韓国の窃盗団は2012年10月、観音寺に侵入して仏像を盗み、韓国国内に極秘に搬入しようとして逮捕された。