【ソウル=加藤宏一】韓国教育省は31日、旧日本軍の従軍慰安婦問題の記述を強化した中学・高校の国定歴史教科書の最終確定版を発表した。慰安婦問題に抗議する集会の開催1千回を契機に、ソウルの日本大使館前に慰安婦を象徴する少女像が設置された事実や、終戦当時に旧日本軍によって慰安婦らが集団殺害された例などを本文に新しく掲載したという。
朴槿恵(パク・クネ)大統領は現在の検定教科書が左派偏重だとして2017年3月から国定教科書に一本化する方針を決めたが、野党や市民団体が強く反発するなか、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入疑惑も浮上し、事実上の撤回に追い込まれた。慰安婦問題の記述の強化などは市民団体の反発に配慮する狙いがあるとみられる。
教育省は17年度は希望する学校に国定教科書を配布する。18年度からは学校側が国定、検定教科書のいずれかを選んで使うことになる。