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【社会】

「共謀罪」準備行為なければ逮捕できない 政府、方向転換も根拠示さず

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 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案について、政府は三十一日の参院予算委員会で「犯罪の合意だけでなく準備行為がなければ逮捕・勾留できないように立法する」との考え方を示した。過去の共謀罪審議で政府が「(準備行為がなくても)共謀の疑いがある時点で強制捜査は可能」としてきた見解を方向転換した形だが、根拠は明らかにしなかった。 (山田祐一郎)

 準備行為は例えば、二人以上が殺人などに合意し、犯行のためにATMでお金を下ろすなどの行為。二〇〇六年の共謀罪の国会審議では、共謀罪を処罰するための条件として「実行に資する行為(準備行為)」を加えた与党修正案について、自民党の柴山昌彦氏(現首相補佐官)が「(準備行為がなくても)逮捕などの強制捜査ができるという理解でいいか」と質問した。

 法務省の大林宏刑事局長(当時)は「嫌疑があれば(強制)捜査を行うことは可能だが、準備行為がなければ起訴はできない」と答弁。与野党から、まず共謀の容疑で逮捕してその後の捜査で準備行為を見つけ出すのではないかといった懸念が出ていた。社民党の福島瑞穂氏はこの日、政府が検討中の案でも「準備行為がなくても共謀の疑いがあっただけで逮捕・勾留できるのではないか」とただした。法務省の林真琴刑事局長は、逮捕などの強制捜査の令状や起訴状でも準備行為の認定が必要だとし、「証明しなければ、令状請求ができず、請求しても却下される」と強調した。

 神戸学院大の内田博文教授(刑法)は取材に「お金や物を用意するなど日常的な行為が犯行の準備行為に当たるかを認定するのは捜査官。捜査側が都合よく解釈する懸念が残る」と話した。

 

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