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自宅が国重文、先祖もネタに 八女市在住のお笑い芸人・カイラさん 地元FMでレギュラー3本 [福岡県]

国指定重要文化財の自宅「松延家住宅」の前でポーズを取るカイラさん
国指定重要文化財の自宅「松延家住宅」の前でポーズを取るカイラさん
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昨年8月に結成したアトム(福岡よしもと提供)
昨年8月に結成したアトム(福岡よしもと提供)
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 八女市立花町在住で、福岡よしもとのお笑い芸人カイラさん(24)=本名松延海良=の注目度がじわじわと上がっている。住んでいるのはなんと、江戸末期に建造された国指定重要文化財「松延家住宅」。異色の経歴で「つかみ」はばっちりだ。地元コミュニティーFM「FM八女」で週3本の番組にレギュラー出演しているほか、漫才コンビ「アトム」としても観客に笑いを届けている。

 実家は昔、商売でもうけて大きくなったんです。丸の中に十字の家紋は薩摩の島津。うちはこれに似せて丸の中に「千」を書いた家紋にしたそうです。船の帆に大きく書くんです。海の真ん中に浮かべたら、遠くから見た商人が「あれは島津の船だ。それなら安心だ」ということで近づいてきたそうです。まあ、最近の言葉で言うと詐欺? 口のうまい商売人の息子なんでこんな感じになるのは仕方ないかなと(笑)

 ご先祖様は舞台の上で格好のネタになっている。松延家はかつて柳川藩の御用商人として、交易を行ってきたという。家族と一緒に暮らす「松延家住宅」は木造2階建てで、しっくいでかためられた白壁が見事だ。

 「ずっと住んでいるので、なかなかすごさは実感できない。(オンライン百科事典の)ウィキペディアでも松延家住宅が出てくるんですが、けっこうすごい家ですね」と笑う。

 幼い頃から「笑い」は身近にあった。父親が大学の落語研究会OBで、毎年春に自宅で学生を招いた寄席が開かれていた。高校2年の時に若手お笑い芸人日本一を決める「M-1グランプリ」の予選に出場。福岡教育大に進学後も同級生と組んだコンビ「ティーチャーズ」で舞台に立つようになった。

 もともと学校の教員志望で、中学と高校の教員免許も取っているが「400、500人の観客の前に立ち、笑いを取る快感にやめられなくなった」と進路を変えた。

 だが、スタート直前につまずきが待っていた。相方だった同級生が突然、教員になると言い出したのだ。「相方は最初、『芸人への強い思いを示すために、教員採用試験に受かった上で辞退する』と言っていた。でも合格したら態度が変わったんです」と振り返る。話し合いの末、コンビは解散した。

 大学卒業後は1人で活動するピン芸人として漫談などで着実に経験を積んだ。2015年からFM八女で、音楽や情報番組のレギュラーを持つようになった。軽妙なトークで、八女では知る人ぞ知る存在だ。

 昨年8月、同じくピン芸人だった島津喜晴さん(27)と新コンビ「アトム」を結成した。「相方の名前は『島津』。先祖のこともあるんで、頭が上がりません」

 当面の目標はM-1グランプリの決勝進出。「まずは勝負できる面白いネタを作らないといけませんね。とにかく、自宅に名前負けしないよう、いろんな所で頑張ります」と意気込んでいる。

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 2月25日にアトム単独ライブ アトムが2月25日午後7時半から、福岡市博多区の博多リバレインホールで単独ライブ「おしゃべり男子」を開く。料金は前売り1300円(当日1500円)。詳しくは「福岡よしもとホームページ」で。

=2017/01/31付 西日本新聞朝刊=

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