中東・アフリカ7カ国の国民や難民の米国入国を一時禁止する大統領令を出したトランプ米大統領について、英国への公式訪問招待に反対する動きが広がっている。英議会のサイトでは、招待に反対する請願への賛同署名が31日午後4時(日本時間1日午前1時)時点で約170万件寄せられた。ロンドン中心部では30日、大統領令や、トランプ氏を招いた英政府に抗議する数千人規模のデモがあった。
英国のメイ首相は、トランプ氏就任後初の外国首脳との会談の相手として訪米。27日の会談後には、両国関係を「特別な関係」とうたい上げた。また、公式訪問に招待するというエリザベス女王の意向を伝え、承諾を得たと述べた。
請願は、女性蔑視や粗野な言動をとるトランプ氏は「女王を困惑させる」とし、女王の歓迎を受ける立場となる国賓としての招待はしないよう求める内容。英PA通信によると、中部リーズの弁護士男性が提起した。トランプ氏が大統領選に勝利した昨年11月に提起されたが、署名はメイ氏が公式訪問を求めた直後から急増し、中東・アフリカ7カ国からの入国を禁止する大統領令が出されてから爆発的に増えた。
メイ氏は30日、訪問先のアイルランドで、公式訪問の招待について「有効だ」と述べ、政府として招待を取り消すつもりはないと表明した。入国禁止の大統領令については直接的な批判は避け、「英国のやり方とは違う」と述べるにとどめた。ジョンソン外相は30日、下院で「英国籍保有者は入国禁止の対象にならない」「もっとも親密で重要な同盟国の大統領は公式訪問の栄誉が与えられてしかるべきだ」などと説明。野党議員からは「声を大にして(米国に)意見する勇気を持てないのか」などと厳しい追及を受けた。
ロイター通信によると、英下院は20日に招待反対の請願について審議する。(ロンドン=渡辺志帆)
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朝日新聞国際報道部