金融庁は31日、信託銀行や生命保険会社など機関投資家向けの行動指針の改定作業を始めた。投資先企業の株主総会でどのように議決権を行使したか原則、個別に開示したり、第三者が意思決定の妥当性を検証する仕組みをつくったりすることを求めるのが柱だ。大口株主の投資行動の透明性を高め、経営へのチェック機能を強める。
2014年につくった現在の「スチュワードシップ・コード」を改定するための有識者検討会を同日開いた。6月に集中する株主総会から新コードに対応して動けるように、3月までに改定案をまとめる方針だ。機関投資家は現在、総会での投票行動について役員報酬や取締役選任などの項目ごとに集計して開示したり、開示しなかったりしている。
改定版では「A社のB」という取締役の選任議案に投じた賛否を原則、個別に開示するよう求める。開示しない場合はその理由の説明を求める。信託銀行の場合、議決権行使を担う運用部門と融資部門が共存している。個別開示で透明性を高めることで、融資の取引関係に配慮し運用部門が投票行動を曲げているといった疑念を抱かれないようにするのが狙いだ。