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【現場から】食い違う対米通商政策、役割果たせない韓国経済のコントロールタワー
2017年01月31日11時28分[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
「産業用機器など米国製装備導入を拡大する」(企画財政部「2017年対外経済政策方向」)。
26日に企画財政部が出したこの資料は注目を浴びた。トランプ米大統領が就任すると同時に保護貿易主義を強める中で、米国製品の輸入を増やすという発表だったためだ。米国はすでに「韓国の対米経常収支黒字幅が過度に大きい」として為替相場操作国に韓国を含む可能性を示唆している。こうした状況で企画財政部が「米国製部品の輸入を増やす」と明らかにしたため注目されないはずはなかった。ところが企画財政部の資料が出されてからいくらもたたずに産業通商資源部がこれを否定する資料を配布した。
「産業用機器の対米輸入拡大案を検討したことはない。今後の計画も未定だ」(産業通商資源部「報道解明資料」)。
対外経済政策を総括する企画財政部の発表に通商政策を担当する産業通商資源部が反論した格好だ。これを受け企画財政部はあたふたとこの日午後に「米国製装備導入拡大」の内容を対外経済政策方向資料から削除すると明らかにした。
通商は国の間で商品を売り買いする行為だ。国同士の経済的利益がかかった問題で、交渉相手がいるため緻密な戦略が必要ということは常識だ。しかもトランプ大統領発の保護貿易主義の波は荒々しい状況だ。米国の韓米自由貿易協定(FTA)再協議要求が現実化するのではないかとの懸念が大きくなっている。
こうした時ほどいつよりも精巧な通商政策が必要だ。それなのに官庁間の混乱をそのまま表わし中途半端な政策が発表されて取り消されるハプニングが起きたのだ。
こうしたあきれた光景は経済コントロールタワー不在の状況を如実に示す。「国政介入事件」以降に政策動力が喪失され、あちこちに穴があいている様相だ。企業構造調整過程での官庁間の行き違い、鳥インフルエンザに対する遅れた対応などが代表的だ。通商分野でも関係官庁が十分な調整ができていない姿を見せた。
こうなると政府の通商機能はさらに弱まるほかはない。そうでなくても朴槿恵(パク・クネ)政権発足後に通商組織が縮小されている状況だ。
米国、欧州連合(EU)とのFTAを妥結させた通商交渉本部は2013年の政府組織改編により外交部から現在は産業通商資源部に移った。この過程で閣僚級だった本部長の地位は1級次官補に格下げされ、組織規模も縮小した。
こうしている間に国際通商秩序は急速に変化している。トランプ大統領が就任してすぐに環太平洋経済連携協定(TPP)離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)再協議を現実化し、オバマ前大統領が主導したメガFTAは力を失っている。
中国は門戸を閉ざす米国に対抗し「自由貿易伝導師」を自任して出た。その一方で韓国に対しては高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する「通商報復」を露骨に展開する。
これに対応した通商戦略変化が切実だ。弾劾政局が続いても経済コントロールタワーはしっかりと作動しなければならない。柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政部長官は「私が副首相職にある限り当然コントロールタワーとしての役割をする」という自身の言葉を実践に移さなければならない。また「通商独立機構新設」(パク・ソンフン高麗大国際大学院教授)のように内部通商力強化に対するさまざまな専門家の助言に政府と政界は耳を傾けなければならない。
ハ・ナムヒョン経済部記者
26日に企画財政部が出したこの資料は注目を浴びた。トランプ米大統領が就任すると同時に保護貿易主義を強める中で、米国製品の輸入を増やすという発表だったためだ。米国はすでに「韓国の対米経常収支黒字幅が過度に大きい」として為替相場操作国に韓国を含む可能性を示唆している。こうした状況で企画財政部が「米国製部品の輸入を増やす」と明らかにしたため注目されないはずはなかった。ところが企画財政部の資料が出されてからいくらもたたずに産業通商資源部がこれを否定する資料を配布した。
「産業用機器の対米輸入拡大案を検討したことはない。今後の計画も未定だ」(産業通商資源部「報道解明資料」)。
対外経済政策を総括する企画財政部の発表に通商政策を担当する産業通商資源部が反論した格好だ。これを受け企画財政部はあたふたとこの日午後に「米国製装備導入拡大」の内容を対外経済政策方向資料から削除すると明らかにした。
通商は国の間で商品を売り買いする行為だ。国同士の経済的利益がかかった問題で、交渉相手がいるため緻密な戦略が必要ということは常識だ。しかもトランプ大統領発の保護貿易主義の波は荒々しい状況だ。米国の韓米自由貿易協定(FTA)再協議要求が現実化するのではないかとの懸念が大きくなっている。
こうした時ほどいつよりも精巧な通商政策が必要だ。それなのに官庁間の混乱をそのまま表わし中途半端な政策が発表されて取り消されるハプニングが起きたのだ。
こうしたあきれた光景は経済コントロールタワー不在の状況を如実に示す。「国政介入事件」以降に政策動力が喪失され、あちこちに穴があいている様相だ。企業構造調整過程での官庁間の行き違い、鳥インフルエンザに対する遅れた対応などが代表的だ。通商分野でも関係官庁が十分な調整ができていない姿を見せた。
こうなると政府の通商機能はさらに弱まるほかはない。そうでなくても朴槿恵(パク・クネ)政権発足後に通商組織が縮小されている状況だ。
米国、欧州連合(EU)とのFTAを妥結させた通商交渉本部は2013年の政府組織改編により外交部から現在は産業通商資源部に移った。この過程で閣僚級だった本部長の地位は1級次官補に格下げされ、組織規模も縮小した。
こうしている間に国際通商秩序は急速に変化している。トランプ大統領が就任してすぐに環太平洋経済連携協定(TPP)離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)再協議を現実化し、オバマ前大統領が主導したメガFTAは力を失っている。
中国は門戸を閉ざす米国に対抗し「自由貿易伝導師」を自任して出た。その一方で韓国に対しては高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する「通商報復」を露骨に展開する。
これに対応した通商戦略変化が切実だ。弾劾政局が続いても経済コントロールタワーはしっかりと作動しなければならない。柳一鎬(ユ・イルホ)副首相兼企画財政部長官は「私が副首相職にある限り当然コントロールタワーとしての役割をする」という自身の言葉を実践に移さなければならない。また「通商独立機構新設」(パク・ソンフン高麗大国際大学院教授)のように内部通商力強化に対するさまざまな専門家の助言に政府と政界は耳を傾けなければならない。
ハ・ナムヒョン経済部記者