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 トランプ米大統領は31日、「他国は、通貨やマネーサプライ、通貨の切り下げを利用し、我々を出し抜いている。中国がやっていることをみてみろ。日本がこの数年でやってきたことをみてみろ。彼らは金融市場を利用している」と話し、中国と並んで日本の為替政策を批判した。発言を受け、ニューヨーク外国為替市場では、1ドル=113円台前半で取引されていた円相場が一時1ドル=112円近くまで上昇し、約2カ月ぶりの円高ドル安水準となった。

 トランプ氏は、米大手製薬会社の首脳らとの会合に臨み、「他の国が通貨切り下げをして、米国企業が我々の国で薬を作れなくなっている」などと話す中で、日中の為替政策に触れた。

 発言は、日本が進めてきた金融緩和も批判したものとみられる。米国の大統領が他国の金融政策を批判するのは極めて異例。金融危機後、金融緩和は米国や欧州の中央銀行も進めてきた。景気が回復している米国が利上げに転じたことでドル高が進んでおり、米国の輸出に不利となるドル高を牽制(けんせい)した形だ。

 トランプ氏は二国間の貿易交渉を重視しており、2月10日の日米首脳会談でも為替の問題が取り上げられる可能性がある。トランプ氏は1月26日、「貿易の二国間交渉では、通貨の価値を故意に下げる為替操作に対し、極めて強い規制をかける」と話し、二国間協定で為替条項を盛り込む意向を示している。(ワシントン=五十嵐大介

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