バングラデシュ政府、ロヒンギャ難民の島への移動を計画
- 2017年01月31日
バングラデシュ政府は、ミャンマーから逃げてきた少数民族ロヒンギャの難民数千人を、ベンガル湾内の島に移動させることを計画している。
政令は、難民たちをミャンマーに帰す前にテンガール・チャール島に移動させるとしているが、人権擁護団体は強制収容と変わりがないと強く非難している。
テンガール・チャール島は約10年前に、メグナ川の堆積土で形成され、高潮の際には数十センチの水に囲まれてしまう。道路や堤防などは築かれておらず、島を記載する地図はあまりない。
約30キロ西には60万人が住むハティア島があり、現在の難民キャンプからの移動には9時間かかる。
ある地元政府関係者はAFP通信に対し、テンガール・チャール島について、「島に行けるのは冬のみで、海賊たちの隠れ家になっている」と語った。島を洪水から守るため植樹が行われているが、完了するまでには少なくとも10年がかかるという。同関係者は、「モンスーンの季節には完全に水浸しになってしまう」と話し、「あそこに住まわせるというのは、ひどいアイデアだ」と指摘した。
ミャンマーでは、ロヒンギャの人々は国境を接するバングラデシュからの不法移民として扱われており、国籍の取得ができずにいる。
バングラデシュでも歓迎する人は少なく、迫害され貧困に苦しむロヒンギャの人々は、祖国がない状態だ。
ミャンマー西部のラカイン州でロヒンギャ住民と当局との衝突が起きた昨年10月以来、約6万5000人がバングラデシュ国内に越境して来たと推計されている。
衝突が起きる前にもすでに、登録済みの住民を含め約23万2000人のロヒンギャ難民がバングラデシュ国内で居住しており、その多くは貧弱な設備しかない難民キャンプで生活している。
バングラデシュ政府は今回、ロヒンギャ難民の登録や移住を目的とした委員会を設置。シェイク・ハシナ首相が後押しする取り組みの背景には、観光振興策があると指摘されている。
約3万2000人の難民が住むコックス・バザールには、世界で最長とされるビーチがあり、政府は難民キャンプが観光客を遠のかせるのではないかと恐れているという。
(英語記事 Rohingya refugees in Bangladesh face relocation to island)