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北条の外交僧・板部岡江雪斎を演じる山西惇さん。
ドラマではなかなか描かれない人物の姿を語ります!

 

イメージは、老舗の大番頭

正直、板部岡江雪斎のことは、この役をいただいてから知りました。戦国時代といえば武将というイメージが強かったので、外交僧として力ではなく頭脳で戦う江雪斎の役割は面白いな、と思いました。

人物によって立ち姿、声の出し方、歩幅や歩速などは違うと思っているので、役作りはいつもそこから考え始めます。江雪斎に関しては、脚本のト書きに「説得力のある声で朗々と」と書かれていたので、特に声には気をつけようと思いました。個人的にお坊さんは声が良くて、しかも響くというイメージがあるので、参考にして演じています。

業種が何であるかはわからないですけれど、江雪斎は“老舗の大番頭”というイメージです。先代である氏政のことはもちろん、息子の氏直のこともよく知っていて、信頼されているという自負もあるような気がします。他人と議論し、論破するのが好きな人だとも思えました。第21回「戦端」で氏直に上洛(じょうらく)を勧めますが、これを断られることは想定内。最初から「ここは俺が行くのが一番いい」と思っていたのではないでしょうか。沼田領問題に決着をつけるために、北条家を背負って活躍できるのは自分しかいないと考えていたと思います。この回のラストで信繁、正信、江雪斎が聚楽第(じゅらくてい)に会して秀吉に拝謁するシーンがありましたが、「負ける気がしない」という気持ちを出して、相手をにらみつける感じで演じました。「信繁の最大の壁になってほしい」という要望がありましたから(笑)。なるべく“いけ好かない奴”でいこうと思い、スタジオ入りするまでは皆さんと雑談することも控えていました。

楽しく演じられた沼田裁定

戦国時代を描いた大河ドラマで、ここまでセリフの応酬に終始するシーンは、もしかしたら他にはなかったかもしれません。裁判の形式で立って発言し、「以上」と締めて座る。あの時代の慣習としてはなかったかもしれませんが、リハーサルの際に共演者やスタッフの皆さんと相談をして、そのように演じました。若い信繁は、このような裁定の場に立つのは初めてだったでしょうから、まず江雪斎が行い、信繁がそのまねをする。初々しい信繁と一筋縄ではいかない江雪斎との、細かいニュアンスの違いを感じ取っていただければと思っています。

沼田裁定を描く第22回「裁定」の撮影は、大変でしたがとても楽しかったです。堺雅人さんをはじめ、小日向文世さん、近藤正臣さんといった大好きな役者さんの中で芝居をするという機会は、なかなかないものです。事前にセリフ量が多いという情報は得ていたのですが、どれだけ話すのだろうと、脚本が上がってくるまで本当にドキドキしていました。読んでみたら、それまで氏政の側近として少し出ていただけなのに、いきなりの大活躍です。ありがたいと思い、江雪斎として精いっぱいやりました。

戦国時代を描いた大河ドラマで、ここまでセリフの応酬に終始するシーンは、もしかしたら他にはなかったかもしれません。裁判の形式で立って発言し、「以上」と締めて座る。あの時代の慣習としてはなかったかもしれませんが、リハーサルの際に共演者やスタッフの皆さんと相談をして、そのように演じました。若い信繁は、このような裁定の場に立つのは初めてだったでしょうから、まず江雪斎が行い、信繁がそのまねをする。初々しい信繁と一筋縄ではいかない江雪斎との、細かいニュアンスの違いを感じ取っていただければと思っています。

氏政のラストシーンに感慨

北条を守りながら、どうすれば世の中の流れについていけるかを考えている江雪斎。氏政のことは大好きだけれども、氏政に対し「秀吉に対しての読みが違うのでは?」「先読みを誤っているのでは?」という疑念を、徐々に抱きます。そして、秀吉に実際に会い、なおさらその思いを強くしたことでしょう。しかし、北条家はもうダメだと諦めることはなかったと思います。例え秀吉に下ったとしても、北条をつなぎ止める道をずっと画策していたに違いありません。

高嶋政伸さんは、北条滅亡に向かわざるを得ない氏政の葛藤を、気持ちのこもったお芝居で僕たちに渡してくださいました。高嶋さんのクランクアップに立ち会うことができたのですが、氏政の最後のシーンを見て「主を失うとはこんなに寂しいものか」と思いました。北条家は一丸になれたと感じました。撮影でさえそう感じるのですから、小田原攻めのあとも生き残った江雪斎は、きっとこの100倍くらいは寂しかったと思います。

そのために、親子関係をどうにかしようと、氏政にべったりであった息子の氏直に「そろそろ父に歯向かわないと」と励まします。どんどんダメな方へ向かっていく氏政を目の当たりにし、氏直に何とかしてほしいという気持ちが強くなっていったのだと思います。氏直役の細田善彦くんに「説得してよ」と目を向けられる場面も何度かありましたし、江雪斎は氏直の母親的な役割もあったのかもしれません。

高嶋政伸さんは、北条滅亡に向かわざるを得ない氏政の葛藤を、気持ちのこもったお芝居で僕たちに渡してくださいました。高嶋さんのクランクアップに立ち会うことができたのですが、氏政の最後のシーンを見て「主を失うとはこんなに寂しいものか」と思いました。北条家は一丸になれたと感じました。撮影でさえそう感じるのですから、小田原攻めのあとも生き残った江雪斎は、きっとこの100倍くらいは寂しかったと思います。

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