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幻覚・幻聴…覚醒剤と危険性同じ 「大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」専門家警鐘

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幻覚・幻聴…覚醒剤と危険性同じ 「大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」専門家警鐘

 大阪府警が昨年11月、大麻取締法違反(所持)容疑で、大阪府内に住む中学3年の男子生徒(15)を逮捕した。警察庁によると、平成27年中に大麻の所持容疑などで摘発された未成年者は144人で、前年(80人)の1・8倍にのぼっている。中高生は27人で、大阪府警が摘発した男子生徒を含む3人が中学生だった。京都市では小学6年の男児が大麻吸引を教師に告白する問題が発覚するなど、低年齢化も深刻さを増しており、専門家や支援に取り組む関係者は、改めて危険性に警鐘を鳴らしている。
 「脳に作用するメカニズムは覚醒剤とほぼ同じ。過剰摂取で幻覚や幻聴の症状も出るし、大麻は恐ろしい薬物だと認識してほしい」
 違法薬物に詳しい近畿大薬学部の川畑篤史教授(病態薬理学)はこう指摘する。
 川畑教授によると、大麻や覚醒剤などの薬物は脳内の神経細胞に作用し、神経伝達物質「ドーパミン」を過剰に分泌させる。ドーパミンは学習や意欲などに作用する物質とされるが、過剰分泌は快感を生み、脳がこの快感を覚えてしまえば、「より強く作用する覚醒剤などに誘引されるようになる」という。
 「最初に使った大麻が、脳に起きた『核爆発』のようなものだった」
 覚醒剤などの薬物犯罪で4回の逮捕歴があり、現在は薬物依存症の回復を支援する民間リハビリ施設「香川ダルク」(高松市)の代表を務める村上亨さん(49)はそう振り返る。
 違法薬物に初めて手を染めたのは16歳の時。先輩に勧められるままに初めて大麻を吸ったが、やがてヘロインや覚醒剤に次々と手を出した。
 幻覚や幻聴に襲われ、何度も警察に逮捕されたものの、考えるのは薬物のことだけ。約10年間を刑務所で過ごした末に、薬物依存に苦しむ人たちと語り合うプログラムなどを通じて、ようやく依存を断ち切ることができた。
 「何かに行き詰まると、薬物に逃げてしまう人はいつの時代もいる。若い人ならなおさらで、治療には本人の意思はもちろん、周囲のサポートが不可欠」と訴える。
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