南有紀
2017年1月27日11時49分
■港からやってきた
世界に名高い「神戸ビーフ」。かつて横浜の外国人のため、神戸から運ばれた農耕牛に、呼び名の起源があるという。
1859(安政6)年、神戸港より9年早く、横浜港が開港した。外国人が増えると、牛肉の需要が高まる。だが当時、日本で肉食の習慣は一般的でなく、牛の入手に一苦労した。
農耕用の牛が注目された。神戸から運ばれたのは、小柄で体の引き締まった但馬牛だったとみられ、「おいしい」と評判に。これが「神戸牛」として知られていったという。
新しい食文化に商機を見いだした人々がいた。
神戸の百姓だった岸田伊之助は外国船に農耕牛を納めるようになり、1871(明治4)年、いち早く神戸・元町に牛肉の小売店「大井肉店」を開いた。
但馬牛は食用として、赤身の中にサシ(脂肪分)をきめ細かく入れる肥育の技術が確立する。今、但馬牛の最高級品に「神戸ビーフ」の称号が与えられている。
◇
JR神戸駅(神戸市中央区)から歩いて5分ほど。牛肉の人気を市民に広めた「大井肉店」は今も健在だ。ビルに「創業明治4年」の看板がかかる。
現社長は5代目の岸田伊佐男さ…
残り:844文字/全文:1315文字
新着ニュース
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部