稀勢の里、白鵬投げ有終の美!25日に日本出身力士19年ぶり横綱誕生

2017年1月23日6時0分  スポーツ報知
  • 白鵬(右)に土俵際まで押し込まれるも、逆転のすくい投げで大きな白星を手にした稀勢の里(カメラ・堺 恒志)
  • 支度部屋で賜杯を手に笑顔の稀勢の里

 ◆大相撲初場所 千秋楽 ○稀勢の里(すくい投げ)白鵬●(22日・両国国技館)

 14日目に初優勝を決めた東大関・稀勢の里(30)=田子ノ浦=が東横綱・白鵬(31)=宮城野=を退け、横綱昇進へ有終の美を飾った。八角理事長(元横綱・北勝海)は取組後、審判部からの要請で横綱昇進を決める理事会の招集を決断。23日の横綱審議委員会で推挙が決まる。25日の春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議と理事会を経て、日本出身では19年ぶりとなる第72代横綱・稀勢の里が正式に誕生する。

 頬をぬらし、稀勢の里は誓った。悲願の賜杯を手にした優勝インタビュー。「一生懸命自分の相撲を信じて、また稽古して、また強くなって、皆さんにいい姿を見せられるように頑張りたい」。初Vを決めた14日目は右目から一筋の涙を流した。千秋楽の土俵際、宿敵の白鵬をすくい投げで転がした。横綱昇進へ有終の美を飾り、両目から大粒の涙があふれた。

 国技館が揺れた。「また来場所も皆さんの期待に応えられるように頑張ります」。1998年夏場所後の3代目・若乃花以来。19年ぶりの和製横綱誕生を確信した観客は「稀勢の里!」を連呼した。二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は、横綱昇進を諮る理事会の招集を要請した。13、14日目から審判部の親方衆に昇進について協議。若手の親方を筆頭に「優勝すればいいんじゃないか」という条件で審判部の意見は一本化した。

 昼には審判部長自ら八角理事長(元横綱・北勝海)の元に出向いた。「結びの一番が終わるまで待て」と慎重な姿勢だったが、稀勢の里が勝利を決めると、今度は藤島副部長(元大関・武双山)が再要請。招集が認められ、25日午前9時の理事会で、昇進が正式に決定されることになった。

 先代師匠の故・鳴戸親方(元横綱・隆の里)が力を貸してくれた。2横綱が休場したため、白鵬に敗れれば横綱戦に未勝利で終わっていた。過去、74年名古屋で北の湖が横綱に勝たないまま、場所後に横綱昇進を果たした例がある。不名誉な記録に名を残すだけでなく、昇進そのものに異論が噴出する可能性もあった。土俵際に追いつめられた時「必死に残った。誰かに支えられた気がする。後押ししてくれたような気がする」と6年前の11月に急逝した先代が脳裏に浮かんだ。

 昇進の使者を待つ田子ノ浦部屋は、14年12月に現在の江戸川区・小岩に移転した。師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は部屋開きの際、恒例の横綱土俵入りを延期。「部屋の第一歩を踏むということで部屋の弟子に土俵入りをしてほしいから」と稀勢の里の横綱昇進を待つことにした。それから2年以上。信じて待っていてくれた師匠との約束も、ようやく果たせる。

 大役を果たして部屋に帰った大関は先代の遺影の前に正座し、手を合わせて優勝と昇進を報告した。「先代には『まだこれからだよ』と言われると思う」。2017年1月25日。ついに恩師と肩を並べ、ファンが待ち望んだ和製横綱が誕生する。(秦 雄太郎)

 ▽横綱の横綱推薦内規
 1、横綱に推薦する力士は品格、力量が抜群であること。
 2、大関で2連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則とする。
 3、第2項に準ずる好成績を挙げた力士を推薦する場合は、出席委員の3分の2以上の決議を必要とする。(後略)

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