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さなイチ

Vol.02 こぼれ話

 

『真田丸』の造園を担当している木村達也から聞いた、造園のこぼれ話をご紹介します。

木村達也 (きむら たつや)
連続テレビ小説『おひさま』(2011年)、大河ドラマ『平清盛』(2012年)、『八重の桜』(2013年)、土曜ドラマ『55歳からのハローライフ』(2014年)、『限界集落株式会社』(2015年)などを担当。

●第27回「不信」で登場した「能の舞台」は…

第27回「不信」において、関白・豊臣秀次(新納慎也)が真田信繁(堺雅人)らとともに、秀吉(小日向文世)の前で能を披露しましたが、その際にも大きな桜の木がありました。実は、この桜の木は、第30回「黄昏(たそがれ)」で描かれた「醍醐の花見」の桜の木を、少しアレンジしたものです。

スケジュールの都合上、「醍醐の花見」のシーンの後に、続けて「吉野での能」のシーンの撮影がありました。当初、能を舞うための舞台を広げるから、桜はどかしてほしいと要望がありました。しかし、解体するには時間がかかりますし、また、吉野も古くから桜の名所として知られているため、少しアレンジして残すことに。「醍醐の花見」のシーンでは、花見をより楽しめるように、枝が目線あたりまで下がるように造り上げていましたが、「能」のシーンでは踊りの邪魔にならないように、枝の位置を上げて舞台にかからないように調整して、撮影を行っています。

●第27回「不信」で登場した「熱海・湯治場の紅葉」は…

第27回「不信」において、秀次が熱海の湯治場で秀吉からの書状を受け取り、困惑するシーンがありました。この際、背景には美しい紅葉が造られていましたが、実は、この紅葉は、第25回「別離」でも登場しています。それは、松(木村佳乃)と小山田茂誠(高木渉)が再会するシーンです。

仲睦まじい茂誠・松夫妻の感動の再会を描くために、“戦国メルヘン”というキーワードで背景が造られました。秋という設定であったため、花が咲いている木となるとキンモクセイなどの花の小さな植物になってしまいます。そこで、三色の紅葉を入れて、華やかな背景としました。

仲睦まじい茂誠・松夫妻の感動の再会を描くために、“戦国メルヘン”というキーワードで背景が造られました。秋という設定であったため、花が咲いている木となるとキンモクセイなどの花の小さな植物になってしまいます。そこで、三色の紅葉を入れて、華やかな背景としました。

●第19回「恋路」で登場した「山吹」は…

第19回「恋路」において、茶々(竹内結子)が信繁に渡した山吹の押し花。現代では、花びらが重なって咲く“八重咲き”のものが一般的です。戦国時代後期にすでに存在してはいるのですが、日本全国どこにでも生えているものではありません。茶々には花びらが重なっていない“一重咲き”の山吹の方が似合うと思い、“一重咲き”のものを探して、撮影に臨みました。

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