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 米通商代表部(USTR)は30日、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱について、正式通告する書簡を事務担当のニュージーランドに送った。トランプ米大統領の大統領令を受けた措置。TPPの発効には米国の承認が不可欠で、現行のTPPの発効が不可能になる。

 トランプ政権は今後、日本などTPP参加国と二国間協定を結ぶ交渉を進める意向だ。2月10日の日米首脳会談では、米国側から日米の二国間協議を求めるものとみられる。

 USTRのパガン代表代行は書簡で「米国は、2016年2月の(協定への)署名から生じる一切の法的責任を持たない」と指摘。「米国は引き続き、より効率的な市場や高い水準の経済成長を促進するための政策を進めていく。これらの目標をどう達成するかについて、さらなる対話を期待している」としている。

 米国の正式通告を受け、菅義偉官房長官は31日の記者会見で、「トランプ大統領も自由で公正な貿易の重要性については認識していると考えており、TPPの持つ戦略的、経済的意義について腰を据えてしっかり、理解を求めていきたい」と従来の主張を繰り返した。TPP発効に向けた交渉については、「トランプ政権の貿易政策等は閣僚人事などの態勢が整って具体化される。それまでは米国の方針を予断することはできない」と述べるにとどめた。(ワシントン=五十嵐大介