【ベルリン中西啓介、ロンドン矢野純一】トランプ米大統領による中東やアフリカ計7カ国の国民について入国を一時禁止する大統領令は、対象国との二重国籍を持つ人が多いドイツでも懸念を広げている。国会議員が入国拒否の対象になる可能性もあり、野党議員の中には対抗措置として、トランプ氏に対し「独入国禁止」措置を取るべきだとの主張も出ている。
在ベルリンの米大使館によると、7カ国とドイツとの二重国籍者も大統領令による一時入国禁止の対象になる。一方、英外務省によると、7カ国と英国との二重国籍者は、7カ国から米国に向かった場合は入国禁止の対象となるが、英国などから、米国に入国した場合は対象にならないとしており、情報は錯綜(さくそう)している。
イランとの二重国籍を持つ野党・緑の党のオミート・ヌリプール議員はDPA通信に「トランプ氏が通達を撤回しない限り、私は渡米できない」と述べ、独政府に対し、米政府に決然とした対応を取るよう求めている。
トランプ氏は28日のメルケル独首相との電話協議で、7月に独北部ハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議への招待を受諾している。緑の党のディーター・ヤネツェック議員は「入国禁止措置を撤回するまで、G20での独訪問を拒否すべきだ」と独メディアに話し、「対抗措置」を提案した。
独国内には7カ国との二重国籍者が1万人以上おり、政府はどのような影響が出るか調査する方針だ。