青木恵子さん=大阪市北区で2016年5月2日午後4時45分、西本勝撮影
大阪市東住吉区で1995年、小学6年の女児(当時11歳)が焼死した民家火災で殺人罪などに問われ、再審で無罪が確定した母親の青木恵子さん(53)は30日、火災は車のガソリン漏れが原因だったとして、自動車メーカー、本田技研工業(ホンダ、本社・東京都港区)に約5200万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
火災は、青木さん宅の車庫に止めてあったホンダ製の軽ワゴン車、アクティ付近から出火し、長女めぐみさんが亡くなった。青木さんと内縁の夫だった男性(51)を再審無罪とした大阪地裁判決(昨年8月)は、出火原因について「車のガソリン漏れによる自然発火の可能性が合理的だ」との判断を示した。
青木さん側は訴状で、漏れたガソリンが車庫にあった風呂釜の種火に引火したと指摘。アクティの燃料タンクは圧力が上がりやすい構造上の欠陥があり、ガソリン漏れに対する対策が不十分だったとしてホンダ側の注意義務違反を主張している。
ホンダ側は昨年10月、青木さん側の弁護団が賠償責任の確認などを求めた書面に対し、「原因は設計や製造の不具合との認識はない」と回答したという。
青木さんはこの日、記者会見し、「娘の命を奪った事故を再び起こさないため、ホンダにはリコールを決断してほしい」と訴えた。ホンダ広報部は「訴状が届いておらずコメントできない」との談話を出した。【原田啓之】