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【野口裕之の軍事情勢】トランプ政権は軍事衝突覚悟で、中国海上軍事基地封鎖「南シナ海版キューバ危機」に踏み切れるか

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【野口裕之の軍事情勢】
トランプ政権は軍事衝突覚悟で、中国海上軍事基地封鎖「南シナ海版キューバ危機」に踏み切れるか

1月17日付の英紙フィナンシャル・タイムズに掲載された政治漫画。トランプ米大統領が竹の枝で巨大なパンダすなわち中国をつついている 1月17日付の英紙フィナンシャル・タイムズに掲載された政治漫画。トランプ米大統領が竹の枝で巨大なパンダすなわち中国をつついている

 ところが、日米軍事筋によれば「米軍の劣化は深刻」で「陸軍は過去80年、海軍は過去100年で、各々最小規模。空軍に至っては創設以来最少という惨状だ」。トランプ氏はロナルド・レーガン大統領(1911~2004年)同様に「力の信奉者」と観測される。「力の源泉=軍」が沈みっぱなしの状況にプライドを傷付けられ、許し難いと感じれば、国軍の大再建に舵を切っても不思議はない。

 トランプ氏の対中警戒度は、わが国の国防にも大きな影響を与えるが、意外にも安全保障に力を入れる兆しが認められる。大統領選挙中の「公約」では、中国ではないが《イランや北朝鮮のミサイル脅威に対抗するため、巡洋艦を近代化する》と宣言。《(現在48万人の)米陸軍を54万人に増強する》とうたってもいる。

 前者=巡洋艦の近代化に関して付言すれば、トランプ氏は海軍の現有艦艇274隻を350隻に増やす目標を掲げる。超党派の国防諮問委員会が勧告した保有艦艇数323~346隻を上回る配備数だ。

 後者=米陸軍兵力増強も数字を挙げる。財源にも触れ、オバマ政権が財政再建に伴い2013年に始めた国防費の強制削減措置を、議会と協力して撤回すると言い切っている。一応、現実を直視した姿勢だ。

 「公約」を実行に移せば、唯一の超大国への復権第一歩となろう。もっとも、戦力・兵力の増強だけでは、国際社会に唯一の超大国とは認知されない。いよいよ、前述した『米国の海』『米国の利益』の話に入る。

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