記事詳細
【野口裕之の軍事情勢】
トランプ政権は軍事衝突覚悟で、中国海上軍事基地封鎖「南シナ海版キューバ危機」に踏み切れるか
ところが、日米軍事筋によれば「米軍の劣化は深刻」で「陸軍は過去80年、海軍は過去100年で、各々最小規模。空軍に至っては創設以来最少という惨状だ」。トランプ氏はロナルド・レーガン大統領(1911~2004年)同様に「力の信奉者」と観測される。「力の源泉=軍」が沈みっぱなしの状況にプライドを傷付けられ、許し難いと感じれば、国軍の大再建に舵を切っても不思議はない。
トランプ氏の対中警戒度は、わが国の国防にも大きな影響を与えるが、意外にも安全保障に力を入れる兆しが認められる。大統領選挙中の「公約」では、中国ではないが《イランや北朝鮮のミサイル脅威に対抗するため、巡洋艦を近代化する》と宣言。《(現在48万人の)米陸軍を54万人に増強する》とうたってもいる。
前者=巡洋艦の近代化に関して付言すれば、トランプ氏は海軍の現有艦艇274隻を350隻に増やす目標を掲げる。超党派の国防諮問委員会が勧告した保有艦艇数323~346隻を上回る配備数だ。
後者=米陸軍兵力増強も数字を挙げる。財源にも触れ、オバマ政権が財政再建に伴い2013年に始めた国防費の強制削減措置を、議会と協力して撤回すると言い切っている。一応、現実を直視した姿勢だ。
「公約」を実行に移せば、唯一の超大国への復権第一歩となろう。もっとも、戦力・兵力の増強だけでは、国際社会に唯一の超大国とは認知されない。いよいよ、前述した『米国の海』『米国の利益』の話に入る。
このニュースの写真
関連トピックス
関連ニュース
- 【野口裕之の軍事情勢】「日本と14年間戦って勝った」という中国の弱味 「逃げ回って正解」と公言した毛沢東が邪魔?
- 【野口裕之の軍事情勢】中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる?
- 【野口裕之の軍事情勢】定員オーバーで閉まらぬエレベーター&クレーム専門レジ&水洗トイレで洗濯…真珠湾慰霊で見えた中華帝国の正体
- 【野口裕之の軍事情勢】新年に警告する 中国軍が宇宙制空権を奪取し、「真珠湾攻撃」を実行に移すXデーが迫っている
- 【野口裕之の軍事情勢】米軍の先端技術を中国に売る独企業 実業家トランプ氏は国家経営への損得勘定をはじき、中独取引にクサビを打てるか
- 【野口裕之の軍事情勢】中国に巨大偽装港が完成 海保や自衛隊を「無力化」する新戦法の拠点と化すのか