サハリン残留邦人の証言収集始まる 厚労省

サハリン残留邦人の証言収集始まる 厚労省
戦後の混乱の中、ロシアのサハリン、もとの樺太や中国にさまざまな理由で残され、その後、日本に帰国した人たちの証言を映像で記録する国の取り組みが始まり、30日、都内に住む女性への聞き取りが行われました。
これは厚生労働省が、戦争を体験した人たちの証言や平和への思いを後世に伝えていこうと始めたもので、第2次世界大戦後、サハリンや中国東北部に住んでいた日本人のうち、混乱の中、長年、帰国できなかった人を対象に行われています。

30日、平成12年にサハリンから帰国し、現在は東京都内に住む近藤孝子さん(85)への聞き取りが、近藤さんの自宅で行われました。近藤さんは、カメラの前で、「ソビエト軍の兵士が家に押し入り、時計や食料などを略奪し、どうすることもできずに屋根裏で震えながら耐えていた」などと当時の状況について証言しました。証言を終えた近藤さんは「特に若い人たちに私たちの苦労した経験について知ってもらいたいです」と話していました。

厚生労働省は、帰国した人の中には長年、現地にいたため、日本語が不自由な人もいるとして、「それぞれの地域で帰国者への支援の輪を広げてほしい」と話しています。厚生労働省は、来月まで帰国者への聞き取りを行ったうえで、20人分の証言を記録した映像を厚生労働省のホームページなどで公開するということです。