競泳の東京都選手権の男子200メートル平泳ぎで、世界新記録を出し、笑顔を見せる渡辺一平=東京辰巳国際水泳場で2017年1月29日、小川昌宏撮影
男子200メートル平泳ぎ 2分6秒67で優勝
150メートルをターンすると、渡辺一平(早大)の世界新を予感した場内がどよめく。山口の記録までは、最後の50メートルを32秒99以内で泳ぎ切ればいい。ペースを落とすことなく、100~150メートルの通過時よりも速い32秒65でフィニッシュした。競泳の東京都選手権は29日、東京辰巳国際水泳場で最終日が行われ、男子200メートル平泳ぎでリオデジャネイロ五輪同種目6位の渡辺が2分6秒67の世界新記録で優勝した。トップ選手の照準はあくまで4月の日本選手権。調整期間である1月での記録更新は周囲も、本人にも驚きだった。
ただ、好記録の布石はあった。序盤の加速だ。「前半から行って、自分の限界を超えろ」。奥野景介コーチの指示に応え、最初の50メートルを28秒95で通過。奥野コーチが「セカンドラップがすべて」と振り返るように、50メートルから100メートルを32秒38で泳ぎ抜けたことも効いた。もともと、後半の伸びには定評がある選手。ターンで壁を蹴った後の推進力にも手応えを感じ、32秒台を最後まで維持した。
さらに明確な課題設定も奏功した。193センチ、78キロ。大きなストローク(腕のかき)が魅力の渡辺にとって、下半身強化が最大のポイントだった。一蹴りをより意識すれば、他に余計な力を入れずに済む。リオデジャネイロ五輪後は下半身の筋力トレーニングに着手。発展途上段階で世界新を出したことで、今後の展望も明るい。
リオの200メートル準決勝で五輪記録を更新したことから、日本代表の平井伯昌監督は「(世界新も)時間の問題だと思っていた」という。今後はどこで自分を超えるか、だ。200メートル平泳ぎは、リオの決勝で6位止まり。肝心な場面で結果を出せなかった悔しさは誰よりも自分が知っている。「世界の大きな舞台で記録更新できる選手になりたい」と渡辺。まず見定めたのは、7月の世界選手権だ。【岩壁峻】