【コラム】韓国社会の偽善の象徴、スポーツ特待生の学校生活

【コラム】韓国社会の偽善の象徴、スポーツ特待生の学校生活

 最近、本紙ではいわゆる「体育特技者(スポーツ推薦の生徒・学生)」の学校生活に問題があることをたびたび取り上げているが、その取材で出会ったある大学の体育特技生は「この問題は自分も残念に思うし恥ずかしい。しかし自分たちが問題を起こしたわけではない。小学校の時から監督の言うとおり必死で練習を続け、大学に行くようになっただけだ」と述べた。

 この言葉を聞いた記者の頭には「偽善」という二文字がよぎった。先生の言うことを聞いていたら、ある日突然大学のスポーツ選手になったというこの選手のことではない。そのような学生選手を数十年にわたり育ててきた韓国社会の「偽善」と「二重の物差し」のことだ。

 韓国のスポーツ選手たちは通常小学校3年生くらいとなる10歳前後から運動部に入部する。その後早ければ中学校、遅くとも高校に入れば、彼らのほとんどが学業と距離を置くようになる。オリンピックで金メダルを獲得した選手や米国のメジャーリーガー、欧州の名門サッカークラブなど世界で活躍する一流の韓国選手たちに「大学入学時に何か特別な配慮を受けたか」「授業にはちゃんと出席して単位を取ったのか」などとは誰も質問しない。朝早くから夜遅くまで練習を重ね、トップレベルの選手となった彼らの人生ドラマに熱狂するだけだ。母校も宣伝に余念がない。ところが彼らが何か問題行動を起こすと「幼い時から運動しかしてこなかったからだ」「人間としての教育を受けてこなかったのでは」などと後ろ指をさす。

 乗馬で大学に入学した「乗馬姫」チョン・ユラ容疑者の問題が表面化したことをきっかけに、この問題とは関係のない体育特技者全員が「潜在的犯罪者」というレッテルを貼られてしまった。またチョン容疑者の代わりに試験の答案を書くよう助教に指示した疑いで梨花女子大教授の柳哲鈞(リュ・チョルギュン)容疑者が逮捕されたことで、今や大学教職員の間では恐怖が広まっているという。体育特技者制度は1972年に制定され、その後は小中高校や大学の指導者、学長をはじめとする教職員、同窓会まで関与してきたため、彼ら利害当事者間の関係も非常に複雑化した。韓国社会における学閥重視の考え方とも関係が深く、また制度をうまく利用して息子娘を名門大学に入れた親たちも多い。そのためある識者は「学校の運動部と体育特技者制度全体を廃止する覚悟がなければ、根本的な解決策にはならないだろう」とまで指摘する。

スポーツ部=閔鶴洙(ミン・ハクス)次長
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