【ワシントン=共同】トランプ米大統領が難民受け入れ凍結やシリアなどイスラム圏7カ国からの入国禁止を決めた大統領令を巡り、ニューヨークなど15州と米首都の司法長官は29日、信仰の自由を侵害し「危険で憲法違反だ」と非難する共同声明を発表した。州の一部は合憲性を問う訴訟を検討しており、大統領令の「正当性」が司法の場で争われる可能性が出てきた。
大統領令の効力を部分的に停止する連邦地裁判断が29日までに相次いで出され、運用の混乱が続きそうだ。市民らの大規模な抗議デモが28日に続きロサンゼルスなど各地であり、ホワイトハウス前でも難民らの入国を求めて人々が声を上げた。ホワイトハウス当局者は29日朝、28日に拘束した109人のうち20~30人をなお拘束中だとした。
CNNテレビは、トランプ政権がテロリスト流入を防ぐため、外国人が入国する際、インターネット閲覧記録や携帯電話の連絡先の開示を求める案を検討中だと報じた。拒否すれば入国が許可されない可能性があるとしているが、検討は予備的な段階で、日本人が含まれるかなど詳細は不明。
共同声明は「信仰の自由は米国の根本的原則であり、どの大統領も変えられない」と強調。トランプ氏は29日の声明で「イスラム教徒対象の禁止令ではない」とし、宗教を理由とした排斥行為だとの批判に反論した。
プリーバス大統領首席補佐官は、永住権を持つ市民は入国を阻止されないとする一方、大統領令の対象国を拡大する可能性があると語った。
米メディアによると、マサチューセッツやバージニアなど各州の連邦地裁判事は28~29日、合憲的な滞在資格を持つ人の強制送還停止を命じる決定を出した。
民主、共和両党からも批判が噴出した。上院民主党トップのシューマー院内総務は大統領令を覆す法案を提出すると表明。共和党重鎮のマケイン上院議員もイスラム教徒排斥は「テロとの戦いで自傷行為になる」と指摘した。