聞き手・福田直之
2017年1月30日05時01分
2011年の登場から5年半。対話アプリのLINEは日本人の半数が使うスマートフォンアプリに成長を遂げました。めざましい発展は、異才が集う多様性がLINEを進化させてきた結果とも言えます。最近、「脱スマホ」まで語り出した出沢剛社長に、LINEのこれからについて聞きました。
――自社が生まれながらにして持つ多様性をどう評価していますか。
「視野が広がり、視点が高くなります。例えば一つの文化圏の人間だけで話していると、お互いに当たり前なことはきちんと語られないまま、あうんの呼吸で進むところがあります。ですが、異なる背景を持つ人が集えば、『え、それってどうしてなの』と、色んな視点からチェックが入るのです。意思決定の質も非常に高くなります」
「その分、もっときちんと説明しなければいけないとか、コミュニケーションコストがかかるところもあります。でも、我々は国内だけでサービスをしているわけではないし、海外のサービスと競争していることを考えると、多様性を生かすことはスマホアプリのように、グローバルサービスにとって必要不可欠なものではないかと考えます」
――かつて社長を務めたライブドアが会社に加わったことが、さらにLINEの多様性を高めたという見方を社内でよく聞きます。
「そもそもこの会社には多様性がすごくあったので、ライブドアを受け入れる素地があったのです。だからこそ、ライブドア組も自分でやりたいようにやれ、すごく力を発揮できたと思います。LINEの特徴は国籍の多様性もそうだし、いくつかの会社が集まったという多様性もあります。森川亮前社長のように、ハンゲームというゲーム会社の出身者もいます。この会社はそうした珍しい会社だと思います」
――多様性があるだけでは会社はばらけてしまいます。LINEの場合、組織を束ねる力は何になるのでしょうか。
「一般的にカリスマ経営者だったりするわけですが、我々の会社の場合はLINEという製品の成長力そのものが圧倒的な求心力の源泉になっています」
――国内では人口の半数が利用者で、スマホ台数とほぼ同じです。主要市場でもすでに高い利用率に達しています。提供できるサービスは増えているとはいえ、LINEの成長といっても限界があるのではないですか。
「インターネットの領域は、あらゆるものがネットとつながるIoTを含めて考えると、可能性はもっと広がると思います。対話アプリとしてのLINEが、IoTのど真ん中の入り口になるのではないかというのが我々の見立てなんです。その可能性がLINEの求心力になっています」
「どういうことかと言うと、対…
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