理学療法士の年収は医療業界の中で低い方だと言われていますが、果たして実際はどうなっているのでしょうか。また、医学療法士から転職をする際のポイントはどんなものがあるかを考えてみましょう。
理学療法士の年収はどれくらい?どうすれば上げることができる?
現在の収入に不満や疑問がある場合は、まず同業種の年収を知る必要があります。
そもそも収入が低い場合は転職を考えるべきですし、現在の職場だけが低い場合は昇給を目指すことや、同業他社への転職も視野に入ってきます。そこで医療業界の各業種の平均年収を比べながら理学療法士の収入について考えてみましょう。
年収は平均で約404万だが医療職では決して高くない
理学療法士の平均年収は約404万円、40代で約500万円とされています。
しかし、他の医療従事者の職業と比較すると高いわけではありません。医師は約1097万円、看護師の平均年収は約478万、准看護師の場合は約396万となっており、准看護師と同等の年収であることがわかります。
ただし、准看護師の場合10年以上の臨床経験後、2年間の通信教育で看護師国家試験資格が得られる「看護専修学校」が設けられています。その為、准看護師から看護師のキャリアアップの可能性があります。
これに対し、理学療法士の場合は低い収入の上、専門職なので特定分野での活躍に限られています。
その上、初任給や病院・施設での勤続年数が少ない期間の年収が少なく、すぐには上がりにくいといった収入アップがなかなか見込めない職業となっています。(年収は最高でも1000万程度)
収入を上げるには昇給を狙うか転職を検討する
一言に昇給と言っても場所により様々ですが、理学療法士の場合収入アップの手段は経験年数などで昇給し、地道にベースの支給額を上げるためには、勤続年数が昇給に関わってきます。
つまり、年収に直結するようなキャリアアップのチャンスは少ないのが現状です。転職によってベースの給料が高い職場へ移り収入を上げるには、経験だけでなく即戦力として活躍できる知識を持っていないと難しいでしょう。
場合によっては国家資格である理学療法士という肩書ではない、別の業界で仕事に就くことも視野に入れる必要があります。
昇給できるかどうかは勤務先による
元々の月収や初任給が低い場合、昇給による収入アップを望みたいです。
しかし、どこの職場でも在籍年数による昇給があるわけではありません。
現在の職場での昇給がどのようになっているかは調べにくいとは思いますが、不安であれば職場の先輩などに「今の収入に不安があり、昇給でどのように変わるか知っておきたい」といった事情を説明して話を聞いてみましょう。
場所によっては一定の年齢から昇給の上がり幅が大きくなるなどの可能性もあります。一般的に国立の医療機関と、そうでない私立や個人経営の医療機関では大きな差があると言われています。
また、福利厚生などの就業条件も大きく変わってきますので、就職の際には条件をよく確認しておくことが必要です。
国立の医療センターでは初任給は低いが昇給や福利厚生が充実
求人を見てみると国立の医療センターの初任給は大学卒業で初任給は18万円ほど。決して多いとは言えない給与です。
しかし、経験や勤務年数による昇給が見込め、ボーナスの支給がある場所がほとんどです。そうしたことから、長く務めるのであれば国立の方がよい可能性もあります。
また福利厚生も充実している場合が多く、交通費や職務手当以外に地域による手当や住宅手当なども完備されている職場もあり、これらを含めれば20代などの若い方や経験の浅い人でも十分に生活して行くことのできる手取りを得ることができるでしょう。
そこから長く勤め上げることで、安定した昇給を得て、より余裕のある生活を送れるようになっていきます。逆を言えば、国立の医療機関で勤務している場合は、年収アップだけを目的として転職を行うのは控えたほうがよいと言えます。
私立や個人経営の医療機関は初任給が高め
国立医療センターに比べ私立や個人経営の医療機関の場合は、大学卒業で初任給は20万円ほどと若干ではありますが高い傾向にあります。
ただし、こうした医療機関の場合ほとんど昇給を見込めません。上がるとしても国立の医療機関と比べるととても少ない上がり幅で、年数を重ねると結果的に追い抜かれてしまいます。
また、私立や個人経営の医療機関の場合、診療報酬で利益を上げることも企業としての目標になりますので、ノルマや売り上げも大きく収入に関わってくることも。ただし福利厚生が充実している場所が多いとは言えず、そうした面からも国立との差があります。
ただし、都心部などそれなりの収益がある病院勤務であれば、昇給や能力給で収入を上げていくことが可能な場合もあります。
転職で収入アップを目指す
現在の職場で収入を上げることが難しい場合は転職を検討しましょう。
転職先としては同じ理学療法士として働ける職場を探すか、経験と知識を活かした別の仕事をするといった候補が考えられます。
民間企業の職員として勤務するほうが、理学療法士として働くよりも多くの収入を得ることができる場合もありますので、理学療法士という肩書にこだわらずに自分のスキルを活かした転職先を探すことをおすすめします。
理学療法士として転職する
理学療法士という職業を変えずに職場を変えることで収入を上げる場合、2つの考え方があります。
1つは前述の通り基本給や福利厚生、国立とそれ以外の医療機関での昇給に関する事柄を念頭に入れた上で、新しい就職先を探すこと。
もう1つは専門分野の知識で重宝される存在になるための転職を行うことです。具体的に言えば医療としてのリハビリだけでなく、スポーツなどの身体使った職業をサポートする仕事に就くといったことです。
こうした専門性を高めることで活躍の場が広がり、就職先の選択肢も増えます。さらにプロフェッショナルとして独立できるようになれば、個人で開業することも夢ではありません。
異なる業界の仕事に転職する
理学療法士という職業は専門性のある仕事なので、急に方向性を変更するのは難しい部分もあります。
しかし、身体に関する知識を活かした仕事先ということであればいくつか存在します。
例えば、有料老人ホームや訪問介護サービス、訪問リハビリなどを行う民間企業。こうした場所では理学療法士の知識や接客経験がそのまま使えるため、就職することも可能です。
他にも学校やスポーツジムといった身体に関するトラブルや悩みを抱えた人が存在する場所での勤務もできる場合もあります。人とコミュニケーションをとることが得意であるという強みと、医療の知識を利用して、医療器具の営業職への転職もおすすめです。
まずは自分の経験や知識はどんなものがあるかを把握し、それらをどのように利用して役に立つことができるかまとめてみましょう。そうすることで就職先を探す指標にもなり、履歴書や職務経歴書、面接などでアピールできるポイントにもなります。
まとめ
理学療法士の仕事は医療行為ですし、高齢化社会の中で職がなくなるといった不安があまりない安定した職業と言えますが、決して楽なものではありません。
さらに医療業界の中では低い収入になりがちで、それに見合った給与が支払われていると思っている人は数少ないのではないでしょうか。
やりがいや人からの感謝の気持ちがあるから仕事を続けられるといった魅力もありますが、同じ仕事をするのであれば収入面も充実しているほうが嬉しいですよね。
自分の現在の職場で昇給や将来性があるかをきちんと確認し、不安や不満がある場合は転職を検討してみてはいかがでしょうか。