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前市長の藤井氏 “信任”得た格好だが…

 逆転有罪判決を受けて市長を辞職した岐阜県美濃加茂市の前市長、藤井浩人氏(32)が29日、「信を問う」と自ら仕掛けた出直し選挙で再選を果たした。藤井氏が刑事被告人の立場で市長を続投することに市民から“信任”を得た格好となった。しかし、「若さに期待している」と支持する声に対し、「選挙の必要はなかった」との批判も多かった。

 藤井氏は午後9時過ぎ、集まった支持者らとともに「美濃加茂市の発展のために頑張ろう」と連呼した。その後のインタビューでは、「市民一人一人の声を受け止めたい。自信を持って信をいただいたと胸を張って市長職を全うしたい」と述べた。また、6月1日の任期満了に伴い実施される次期市長選について藤井氏は「その先も続けられるよう市長職に全力を尽くす」と出馬に意欲を示した。万歳三唱は「まだ次の選挙がある」として控えた。

 一方、毎日新聞は投票を終えた50人にアンケートを実施。藤井氏に投票した人は8割近い39人に上ったが、投票の基準を聞いたところ、市長続投を争点に投票した人は14人で3割に満たなかった。「人柄」が31人と最多だった。藤井氏について20代の男性は「未来がある。若さに期待したい」、高校3年の男性(18)は「真面目で誠実そう」と答えた。一方で「政策」と回答した人は6人にとどまり、政策的な争点のない異例の選挙戦だったことを裏付ける格好となった。

 出直し選については「必要だった」「必要なかった」はいずれも20人、「分からない」も10人に上り、藤井氏が争点に設定した「裁判を闘いながら市長職を続けることの是非」が浸透していないことがうかがえた。藤井氏に投票した39人に限っても、出直し選が必要と答えたのは半数以下の18人にとどまった。鈴木勲氏(72)に投票した60代男性は「何のための選挙か分からない。藤井氏は有罪判決を受けたのだから選挙に出るべきではなかった」と批判。

 また、投票に行かなかった50代の女性は「有罪判決の出た市長が居座り続けることに不信感がある」と理由を語った。

 一方、今回の選挙について名城大学の昇秀樹教授は「人気投票の側面は否めない。選挙に司法のことを持ち込むのは不適切だが、藤井氏が数字によって政治的な力を得たことは確かだ」と分析した。【駒木智一、沼田亮】

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