オイシックスと大地が経営統合を選んだ理由
有機野菜の宅配は一見好調に見えるが・・
有機野菜がさらに広まるきっかけになるか。
有機野菜宅配2位のオイシックスと同3位の大地を守る会(以下、大地)は、2017年秋をメドに経営統合する。両社の売上高は単純合算で337億円(2015年度実績)となり、NTTドコモ傘下のらでぃっしゅぼーやを抜き業界トップに躍り出る。
両社は2月末までに臨時株主総会を開催し、承認を得たうえで株式交換により経営統合する(統合比率は大地1株にオイシックス261株)。統合会社の名前は未定ながら、統合後は大地の藤田和芳社長が会長に、オイシックスの高島宏平社長が社長に就任する。
目下、食品宅配市場は右肩上がりが続いている。矢野経済研究所によると、食品宅配市場は2019年度に2兆1470億円と、2014年度から10%拡大すると予測されている。オイシックス、大地ともに足元の業績は堅調に推移している。それぞれが独自に経営を続けていくことに問題はなさそうだ。では、なぜ両社は経営統合を選択したのか。
有機野菜の認知度は低い
「プレミアムな野菜市場はそこまで拡大しておらず、まだまだ多くの方の選択肢として認知されていない」。高島社長はそう危機感をあらわにする。実は成長する食品宅配市場のうちおよそ半分は生協による個配サービスで、有機野菜などの自然派食品が占める割合はわずか4%にすぎない(矢野経済研究所調べ)。
背景には「日本は有機野菜やオーガニックという言葉が混在しており、高品質な野菜の存在が消費者伝わりにくい」(藤田社長)という側面がある。