自腹で、はてなブログや増田(はてな匿名ダイアリー)に投稿されるエッセイをまとめて出版したいという、お大尽が現れた。
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「はてなベストエッセイ集」の企画概要
3番目の記事に、こう書いてある。
- 2017年中にはてなブログ(+増田)に発表されたエッセイの中から
- id:dk4130523氏が24編選んで(+特別寄稿)、エッセイ集仕立てにする
- 230部を刷って、氏が書店を回って置いてもらう
- 300円(未定)で売上は寄付
- 電子化はたぶんしない(PDFは作るかも)
- この活動を10年続けたい
(詳しくは元記事を読んでください)
記事には特に自腹とは書いていないが、直接聞いたら自腹とのことだった。
230部を印刷製本するなら、安い業者を使っても10~30万はかかるだろう。
ちなみに、出版社の自費出版を使うと200万くらいかかる。
1冊300円だから、230部売れても売上69,000円と、初めから赤字である。
電子書籍なら経費ゼロで作れるのに、あえてコストがかかる紙媒体を選び、モノにこだわるところにドラマを感じる。
私がdk4130523氏を「お大尽」と思うのは、自分が「いい」と思った他人のエッセイを自腹で出すところに、古風な大人の道楽や気概を感じるからだ。
あと、この前書いた姪とレロレロを氏が気に入ってくれて、私を選考委員にしてくれたのだが、お金を出すのはお大尽なので私は協力するけど口出ししない、と思ったことを忘れないためである。
人はなぜブログを書くのか
例えば、心の暗がりについて書くとき、「そんなことはブログで全世界に公開することではない。日記帳に書いてだれにも見せるな」と批判する人がいる。
「ほめられたいからだろう」「さびしいからだろう」と批判する人もいる。
私も、このことについて悩むことがある。
なぜブログを書いて、だれかに読んでほしいと思うのだろう。
思ったことをありのまま書きたいのは、別に承認欲求からではない。だけど、この気持ちをうまく説明できない。
dk4130523氏は、このことについて鮮やかな答えをくれた。
もっと本質的に、なぜか。それは表現は読み手(読者)を必要とするからです。承認欲求? ちがう。そんなどうでもいい言葉が被せられる以前の自意識の風景の話を、おじさんはしている。そもそも対話というのは、1人ではできません。1人でやれたら、やり続けられたら精神に異常を来します。もっと端的にいうと、表現するのは、寂しいからです。そしてそれだって別にメンヘラじゃない。
しゃべるよりも、友達とわいわいがやがやするよりも、書いたものを通じてコミュニケーションをとるほうが、自分のこの部分には、自分によりよくフィットすると感じる種族が、いる。
私は、書いたものをネットの海に投げることで、どこかにいるだろう、分かってくれるだれかと対話をしたいのかもしれない。
「純粋なよみもの」に光をあてる試み
さて、はてなブロガーの間で最も目立っているのは、「お金のためにブログをやっている人たち」のコミュニティだろう。
はてなブログを始めたばかりの人が、知り合いを作りたいと思ったら、たぶんそのコミュニティに入ることになる。
そこに入ると、ブログの価値をPVと収益でしか測れなくなってしまう。
つまり、「良いブログ=稼げるブログ」という価値観でしか、自分や他人のブログを見られなくなってしまう。
自分の心を吐き出した「純粋なよみもの」は、「稼ぐ」ことと相性が悪い。
まず、検索されない。
検索されるように、タイトルを工夫して文中にキーワードを盛り込むなどとやり始めた時点で、よみものとしての大事な何かを失ってしまう。
次に、拡散されにくい。
例えば、家族について書いた素朴なエッセイは、何らかの意外性がないと何百もブクマがつくことは考えにくい。
だから、優れた日記やらエッセイやらが、ブクマもあまり付かずに(=書いた本人にも、その文章が優れていることが分からない形で)、ネットの片隅でひっそり咲いているのをよく見る。
dk4130523氏は、人知れず咲いているその花をそっと集めてお披露目することで、もっと色とりどりの花が咲き乱れるような環境を作ろうとしている。
自分の信念のためにポンと金を出すなんて、まさにお大尽だ。
(もっといい単語ないかな……。パトロンとかだと月並みなんだな)
たぶん、著作権とか各ブロガーに払うお金とか(私はいらない)、はてなさんとの交渉とか、いろいろ大変だろうし何か言ってくる人もいるだろうけど、私はこの心意気だけで、氏を尊敬して無条件に協力しようと思う。
あと、氏の企画とは別に、私も純粋なよみものの良さを広めるために何かしたい。
それで、このブログでも月に1回、私がいいなと思ったブログのエッセイを紹介しようと思う(氏の企画とは、必ずしも連動せず)。
このブログのPVは多くないので、紹介する人へのPVの足しには全くならないと思うけど、大事なのは気持ちだ。
1月はあまりはてなを見ていなかったので、1・2月分を一緒に、3月中に紹介する予定。
はてなベストエッセイ集がボトルメールになるといい
だれの話か忘れたが、自費出版で出した本のうちの一冊を、海外のゲストハウスに置いてきたという話があった。
多くの人の手から手に渡って、感想を書いてもらって、最後には自分の元に帰ってくるように、メッセージを本に書いて。
そうしたら、本当に戻ってきたという話。
はてなベストエッセイ集を、あえて「紙」で出したいという氏の話を聞いて、この話を思い出した。
氏が書店を行脚して、一冊一冊地道に置いていく本。
売れるかどうかも分からない。
たまたま、はてななど全く知らない人が買って、読んだら案外面白かった。
検索すると、普通には流通していない本のようなので、他の人にも貸してみる……。
こんな風に、手紙を入れた瓶がどこかの海辺に流れ着くように、漂流していく本を思い浮かべた。
電子書籍ではない紙の本なら、人の手から手に渡るように、いろんな展開が考えられる。
ゲストハウスに置いたり、図書館に寄贈したり、老人ホームに置くのもいいかもしれない。
考えるのもまた道楽である。
お大尽はどんな人?
最後に、こんな面白い企画を考えたdk4130523氏はどんな人なのだろう。
氏が自分のブログなどで公開している情報を並べてみる。
- 43歳独身バツイチ
- 困った人に手作りごはんを食べさせるのが趣味
- 猫のはなちゃん・くるみちゃんと暮らしていて、自分を「下僕」と呼んでいる
- 猫のシェルターの活動を支援している
- 離婚後も、元妻の姪を可愛がって、アップルパイを作って食べさせたりしている
- 2chで知り合ったよよんくんを大切に思っていて、たまにお墓参りをしている
- 1980年代のスポーツノンフィクションについてブログを書いているけど、最近は猫とご飯の話が多い
- Twitterでは謎の猫語またはべらんめえ口調
なんか、氏自身が、小説の主人公になれそうだ。
スパゲッティを茹でていたら、電話がかかってきて、姪と猫とエッセイを探し求める旅が始まるとか。
いや、スパゲッティじゃなくてアップルパイか。
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