戦国群像劇となる『真田丸』。
チーフ演出・木村隆文の目指す作品像とは?
三谷幸喜さんと仕事をするのは初めてです。脚本だけではなく監督もなさっている三谷さんですけれども、「三谷さんだったらこう撮るだろう」とは考えていません。それを考えたら何もできなくなりますから(笑)!
ただ、「こわい」脚本だと思います。他の三谷作品もそうですが、脚本には登場人物が一人で考えにふけるシーンがほとんどなく、出てくる人物は常に誰かと会話をしています。会話中は人物の心境の変化などが加わるので、ここを丁寧に読み取っていかなければなりません。そのシーンで人物の気持ちを表現していかないと、次のシーンに移った後では、取り返せなくなります。自分の読解力が試されているようで「こわい」です。
そして、三谷作品らしいコミカルなシーン。ここも「笑わせよう」とすると失敗することになる、と肝に命じています。脚本はもう、読んだだけで面白いので、演出側が過剰に笑いを盛り込まない。役者もまじめに演じ、スタッフもまじめに撮影する。そのまじめさが、おかしみにつながることに気づかされました。
「面白いセリフは、棒読みくらいのテンションでやったほうがいいのでは?」と、三谷さん自身が口にしていたこともあります。脚本上、「ここは笑いどころ」と、こちらが思うことは多々ありますが、あえて作り込まないように心がけています。「ここが笑いどころか」と、見た方が作為を感じれば、結局、笑えなくなってしまうものですから。
そして、三谷作品らしいコミカルなシーン。ここも「笑わせよう」とすると失敗することになる、と肝に命じています。脚本はもう、読んだだけで面白いので、演出側が過剰に笑いを盛り込まない。役者もまじめに演じ、スタッフもまじめに撮影する。そのまじめさが、おかしみにつながることに気づかされました。
「面白いセリフは、棒読みくらいのテンションでやったほうがいいのでは?」と、三谷さん自身が口にしていたこともあります。脚本上、「ここは笑いどころ」と、こちらが思うことは多々ありますが、あえて作り込まないように心がけています。「ここが笑いどころか」と、見た方が作為を感じれば、結局、笑えなくなってしまうものですから。
『真田丸』は群像劇ですので、映画のように一人の人物に焦点を当てるカメラではなく、通常のテレビ用を使用し、多くの人たちの芝居がきちんと伝わるようにしています。グループショットを大切にし、後ろにいる人の演技もきちんと感じられるよう、はっきりとストレートに撮る。スタジオでは4台のカメラで芝居を追っていきます。
真田一族をはじめ、織田や上杉、北条、そして徳川など他の氏族の個性はさまざま。敵役(かたきやく)でも彼らなりの理由があり、ドラマがあります。そこをきちんと映像的にも描き分けていきたいと思っています。
真田家は織田や豊臣など権力に近い人たちに比べると、中央から距離的にも遠く、財力も相当見劣りしています。きらびやかとは対極にあり、いつ滅びるかわからない状況です。そのあたりを身なりや衣裳などを工夫し、見た目でも差異を出していきます。
例えば、平安、鎌倉期に着られていた大鎧(おおよろい)。時代的にまだ使われてはいるのですが、当時こういった鎧を身につけているのは、地方に住んでいる人、もしくは、年配の人。財力があったり年代が若かったりすると、シンプルで動きやすい当世風になります。髪型も、中央では信長などの影響もあって月代(さかやき)姿が主流ですが、地方はまだまだ総髪が多い。
情報の伝達速度も違います。物語でも描かれていますが、信長が討たれた本能寺の変という大事件も、知っている人、知らない人の差が大きかったようです。そういった地方と中央の距離感を見比べていってください。
例えば、平安、鎌倉期に着られていた大鎧(おおよろい)。時代的にまだ使われてはいるのですが、当時こういった鎧を身につけているのは、地方に住んでいる人、もしくは、年配の人。財力があったり年代が若かったりすると、シンプルで動きやすい当世風になります。髪型も、中央では信長などの影響もあって月代(さかやき)姿が主流ですが、地方はまだまだ総髪が多い。
情報の伝達速度も違います。物語でも描かれていますが、信長が討たれた本能寺の変という大事件も、知っている人、知らない人の差が大きかったようです。そういった地方と中央の距離感を見比べていってください。
大河ドラマの演出に携わるのは『八大将軍吉宗』(1995年)、『武蔵 MUSASHI』(2003年)、『義経』(2005年)に続き4作目。合戦シーンも多く手がけました。その際、演出家として常に冷静に見るように心がけているのですが、馬が走る姿を見ると、やはりテンションが上がります。合戦シーンの撮影は胸が躍ります!
今回初めて、生身の馬の他にロボットも使いました。ハリウッドでは胴も首も本物のように動いて、トレーラーで牽引するタイプの馬ロボットが使われています。それをハリウッドから取り寄せて使ってみました。ロボットと言っても非常にリアルなので、どれが本物の馬を使ったカットか、ちょっと見ただけではわからないと思います。これで生身の馬では難しいショットも可能になりました。
三谷作品では戦に至る過程や裏で何をしていたのか、負けた人がどんな風に陣に戻ってくるのかなどが丁寧に描かれているので、そちらの面白さにも目覚め始めています。ドラマでは戦の周辺も丁寧に描きます。もちろんストーリー上、合戦を全て無視することはありませんが、合戦に参加しない人を描くのも楽しみの一つ、と思っています。
とはいえ、信繁の最期は大坂の陣。活躍の場となった真田丸は、スタジオではなく、オープンセットでの撮影が予定されています。合戦の見所はきちんと用意していくつもりですので、ぜひご期待ください!