先日、任鍾竜(イム・ジョンリョン)金融委員長が「韓国経済と金融市場は如履薄氷(じょりはくひょう)のような困難な状況に直面している」と発言し、対策の必要性を訴えた。「如履薄氷」とは「薄い氷の上を踏むように危険な状況」という意味で、詩経に出てくる言葉だそうだ。これを「韓国経済と金融市場は薄い氷の上を歩くような危険な状況にある」と言えば国民は理解できなかったのだろうか。
それから数日後、柳一鎬(ユ・イルホ)経済副首相と韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が会談し「企画財政部(省に相当)と韓国銀行が連携して困難を克服することで一致した」として「同舟共済」という言葉を使ったそうだ。これは「同じ船に乗って河を渡る」という意味だ。
1年を故事成語や四字熟語で表現する『教授新聞』は、今年の四字熟語に「君舟民水」を選んだそうだ。『荀子』の「王制編」に出てくる言葉で「民は川の水、王は船であり、川の水によって船は浮き前に進むが、水が怒れば船を転覆させることもある」という意味だ。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と崔順実(チェ・スンシル)ゲートで怒った民衆が大統領の下野を要求し、毎週広場に集まって抗議行動を続け、ついに大統領の弾劾訴追に至った現在の状況を皮肉ったのだろう。
韓国は漢字文化圏に属しており「学校で漢字を教えるべき」という主張も一定の支持を得ている。ただそれは世の中のことをあえて難しい漢字で言い表すためではない。韓国には固有の言葉も文字もあるし、それによって故事成語の言葉が表現できないわけでもない。それでもあえて漢字語を使うとすれば、それは一種の「知的虚栄心」ではないだろうか。年末年始には公共機関や企業などでも、1年を締めくくり新年に期待する意味から、なじみのない漢字の言葉をよく発表している。その発表のために四字熟語や故事成語を調べる時間があるのなら、ハングル辞典やことわざ辞典を調べ、われわれの優れた言葉をもっと探し出してほしいものだ。
イ・グァンボクさん(ソウル市松坡区)