上田初戴冠か、里見反撃開始か―29日に将棋女流名人戦第3局
将棋の第43期岡田美術館杯女流名人戦5番勝負(主催=報知新聞社・日本将棋連盟、特別協賛=ユニバーサルエンターテインメント)の第3局が29日、千葉県野田市の関根名人記念館で行われる。
8連覇の懸かる里見香奈女流名人(24)=女流王座、女流王位、女流王将、倉敷藤花=と挑戦者・上田初美女流三段(28)の顔合わせ。第1、2局と連勝している上田が初の女流名人位奪取に王手を掛けて迎える第3局となる。28日、両者は同市入りして前夜祭などに出席した。
対局場所は「近代将棋の父」こと関根金次郎十三世名人の業績を顕彰する記念館。現在は「木村義雄(十四世名人)のお宝展」を開催中で、両対局者は偉大な先人が使用した盤駒などを真剣な眼差しで見つめた。木村十四世名人が1938年に創作した19手詰の詰将棋に挑戦すると、さすがに1分も要さずに解答していた。里見は「偉大な先生。年々、昔の先生方の偉大さを実感するようになりました」と感慨深げ。上田は「昔の将棋を並べても歳月の経過を感じません。流行を繰り返していくのが将棋の素晴らしさだと思います」と語った。
市内のクリアビューゴルフクラブ&ホテルで開催された前夜祭で、里見は「こちらに来るのは8度目になります。学生の時から、本当に温かくお出迎えしていただいている思い出ばかりです。明日の対局は今の自分が持っている力を出し切れるよう、一生懸命考えて戦っていきたいと思っています」とあいさつ。上田は「いろんな方から、あと一局勝てれば女流名人だねとお声掛けいただいていますが、気持ちとしては意識することなく、私にとって里見さんは真正面からぶつかっていきたいな、と思わせてくれる相手。その気持ちを忘れず、1、2局目と同様、真正面から全力でぶつかっていければと思います。明日いい将棋を指せるように頑張ります」と約100人の関係者に語り掛けた。