【コラム】韓国はみんな狂っている、まともではない

 今の時点で、文・前代表は大統領に最も近い人物だ。しかし大統領というポストの重みから考えると、危なっかしく思う部分は一つや二つではない。公務員の雇用を80万人分つくるという公約がそれだ。この構想には「元祖」が存在する。デフォルト状態に陥ったギリシャだ。

 ギリシャの悲劇は、およそ30年前にポピュリズム政権が成立したことで始まった。「官製雇用」政策が始まったのもこの時期だ。ギリシャは数十年にわたり、国が借金までして公務員の給与の支払いに苦しんだ。その結果、コメディーのようなことが起こった。人口1100万人のギリシャで、国営放送局の職員の数はCNNテレビより多かった。鉄道当局の赤字があまりに多額で、いっそ乗客をタクシーに乗せて運んだ方が安くつくというほどだった。そもそも持続不可能な政策だった。

 全く同じ狂気の沙汰を、韓国でもやろうと言う。それも、次期大統領の可能性が最も高い候補が公約をして掲げたのだから、絶句する。公務員を80万人雇おうとすると、どんなに少なくとも年に30兆ウォン(約2兆9000億円)以上はかかる。カネを都合する奇跡のような方法でもあるというのか。

 今、韓国は国が理性を失いつつあると感じる。大統領になるという指導者らは、権力欲に目がくらんでいる。政治家は扇動し、大衆は集団狂気を噴出させている。理性が行方をくらまし、憤怒と感情、アブノーマルがのさばる国になった。全てが滅びようとしているかのようだ。

 その頂点には、昨今の事態を招いた朴槿恵(パク・クンへ)大統領がいる。国中がこんなめちゃくちゃなのは、大統領が引き起こした事態だからだ。一日も早く混乱を収拾できるようにする最大の責任は、大統領にある。にもかかわらず、朴大統領は疑惑の実体について沈黙したまま、国の混乱をほう助している。真実を明らかにするのではなくメディア戦を繰り広げ、時間稼ぎという印象を与えている。

朴正薫(パク・チョンフン)論説委員
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