28日午前11時45分ごろ、長崎市三景台町の市道で「女性が車の中で倒れている」と通行人から110番があった。軽乗用車の中で長崎県諫早市多良見町、野中千晶さん(28)が腹部などを刺されて意識を失っていて、病院に搬送されたが死亡した。県警は殺人事件として捜査している。
野中さんは元夫の男性(30)からのストーカー被害を昨年11月に警察に訴えていた。110番から約1時間後、現場近くに住む元夫が自宅で首をつった状態で見つかり、その後死亡が確認された。元夫が事件に関係しているとみて調べている。
県警によると、野中さんは腹部などを複数回刺され、運転席に座っていた。足元からは凶器とみられるナイフが見つかった。軽乗用車は野中さんの所有だった。元夫は自殺したとみている。
野中さんは昨年11月28日、諫早署に「ストーカー被害を受けている」と相談。その後、野中さんと署員が面談や電話で複数回やりとりをしていた。最後に連絡を取ったのは1月中旬で、いずれも署員は野中さんから「異常はない」との報告を受けていた。
同署は「定期的に連絡を取っており、被害者の意向を踏まえて適切に対応した」としている。
野中さんが発見された三景台町はJR長崎駅から南東に約3.5キロの住宅街。現場近くで働く女性(74)は「10年以上この団地に通っているが、こんなことは初めてで驚いた。規制線がはられて何事かと思ったが、事件だと聞き、怖いです」と話した。【今手麻衣】