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2017.01.28
韓国、慰安婦合意破棄と市民革命で、日米との同盟断絶か…親中国へ傾斜の末路
文=高月靖/ジャーナリスト
「ヘル朝鮮」はおびただしい数の自殺を生む過度の競争と、既得権層の横暴、「スジョ階級論」は世代を超えた格差の固定による不平等などを表す。不正介入の主犯・崔順実の娘で一流大学に裏口入学したチョン・ユラの放った「(親の)カネも実力だ」という言葉は、極限まで鬱積した国民の不満を見事に凝縮していた。一部保守派の「デモは親北左派の扇動」という批判も、こうした国民の切実な怒りに押し流されている。
「キャンドル革命」の落としどころが政局の焦点
すさまじい国民の不満と怒りを燃料に、「大韓民国のリセットとリビルド」を求めて突き進む「キャンドルデモ」。この現象は現地メディアで「キャンドル革命」と呼ばれる。そしてこの「革命」をどんな落としどころに導くかが、弾劾以後の政局と次期大統領選を決する最大のテーマだ。
わかりやすい落としどころのひとつは改憲。憲法改正で大統領権限を分散化、また直接民主制を拡大し、「第2の崔順実ゲート」を防ぐという議論だ。また「第7共和国」論、つまり抜本的な改憲でドラスティックな国家体制の転換を目指すべきという主張も根強い。
いっぽう最大野党・共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)前代表は、また違うかたちでの「革命」に言及した。朴大統領の弾劾訴追はこれから数カ月の審理を経て、憲法裁判所で棄却、つまり大統領権限が復活する可能性もある。これに対して文前代表はメディアの取材に、「棄却の場合は革命しかない」と発言したのだ。保守系メディアはこの発言を「『キャンドルクーデター』の扇動」と猛批判した。
過激な「革命」発言で攻撃を浴びる文在寅前代表だが、国民の支持は根強い。1月2日発表の世論調査でも、首都圏で次期大統領候補No.1に選ばれている。
そして次期大統領選をめぐって文在寅前代表と互角に人気を分け合うのが、与党・セヌリ党が推す潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長。この2人を「韓国版トランプ」こと李在明(イ・ジェミョン)城南市市長、ベンチャー実業家出身の安哲秀(アン・チョルス)国民の党前代表ら野党候補が追う構図だ。「キャンドル革命」を強力な追い風とする野党系候補に対して、朴大統領を担いでいた保守派与党は不利な応戦を強いられている。
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