【ロサンゼルス長野宏美】トランプ米大統領がシリアなどからの難民受け入れ停止の大統領令に署名したことに対し、イスラム教徒や難民への差別が助長されるとの懸念が広がっている。
嫌がらせは既に各地で起きている。検察当局によると、ニューヨークのケネディ国際空港の待合室で25日に男(57)が航空会社のイスラム教徒の女性職員を蹴り、「大統領がお前たち全員を追い出すだろう」と暴言を吐く事件があった。男はヘイトクライム(憎悪犯罪)に関連した暴行などの容疑で逮捕された。
イスラム人権団体によると、西部コロラド州オーロラでも26日、内戦などで世界各地から逃れて来た難民の支援施設で、「おまえたち難民全員を吹き飛ばす」と書かれたメモが2枚見つかり、警察がヘイトクライムの疑いで捜査している。
難民受け入れを停止するトランプ氏の大統領令について、全米最大のイスラム人権団体「米イスラム関係評議会」(CAIR、本部ワシントン)は「入国停止はこの国を安全にしない。イスラム教徒の難民や米国のイスラム社会に汚名を着せるだけだ」と非難声明を出した。「偏見に基づく大統領令」として、近く連邦政府を提訴する予定という。