日本臓器移植ネットワークは27日、脳死での心臓移植のうち昨年10月以降の3例で患者の選定を誤ったと発表した。本来移植を受けるはずだった患者2人が手術を受けられず、うち1人は2回の機会を逃していた。移植を受ける患者の優先順位を決めるシステムの不具合が原因という。
移植ネットでは2014年11月と15年3月にも脳死での腎臓移植で患者の選定ミスがあり、15年9月に理事長が交代。システムは再発防止のため昨年10月に導入したものだった。
厚労省は27日、このシステムの利用を中止し、改修を終えるまで手作業で優先順位を決めるよう移植ネットに指示した。心臓以外の臓器移植でもミスがなかったか調べ、2月3日までに報告することも求めた。
記者会見した移植ネットの門田守人理事長は「社会の信頼を損なう事態となり、深くおわびしたい」と述べた。移植を受けられなかった2人は現在も移植を待つ状態で、ともに待機日数は1千日を超えている。
移植ネットによると、システムは移植を待つ患者の待機日数や血液型、年齢などを登録し、脳死者が出た時に優先度を判断して選ぶ仕組み。登録情報を修正すると待機日数が誤って長くなる不具合があった。移植ネットは今後、患者や家族に選定ミスが起きた経緯を説明、謝罪する。