宇宙航空研究開発機構(JAXA)は28日夜、国際宇宙ステーション(ISS)への無人物資補給機「こうのとり」6号機を「宇宙ごみ」に見立て、7日間の除去実証実験を始める。地球の磁場と電流を利用して大気圏に落とすための手順がうまくいくか確かめる。
宇宙ごみは人工衛星やロケットの残骸で、地球周辺では大きさ10センチ以上で約2万個、1~10センチで約50万個も飛んでいると推定される。高速のため、ISSや衛星への衝突が脅威になっている。
想定では、宇宙ごみに「テザー」と呼ばれる金属製のひもを取り付けて電気を流すと地球の磁場との作用でブレーキとなる力が発生。すると、地球の引力で高度が下がっていき、大気圏で空気との摩擦で燃える。
JAXAは同日未明、地上約400キロを飛ぶISSから6号機を分離した。同日午後10時ごろから、あらかじめ収納している約700メートルのテザーがきちんと伸びるか、実際に電気が流れるか試す。今後はテザーを宇宙ごみに取り付ける衛星を開発し、2025年ごろの実用化を目指す。
6号機は昨年12月に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、ISSに食料や電池などを運んだ。実験終了後は、通常通り大気圏に突入して燃え尽きる。【阿部周一】