写真・図版 1月26日、トランプ米大統領はオバマケアを撤廃するという選挙公約について、議会の後押しを受けて達成しようとしているが、共和党が検討している代替案は、州の財政を悪化させるリスクをはらんでいる。写真はオバマケア見直しを指示するトランプ大統領(左)、ワシントンで20日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

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 [サンフランシスコ/ニューヨーク 26日 ロイター] - トランプ米大統領は前政権の看板政策である医療保険制度改革法、いわゆるオバマケアを撤廃するという選挙公約について、共和党が多数派を占める議会の後押しを受けて達成しようとしているが、共和党が検討している代替案は、州の財政を悪化させるリスクをはらんでいる。

 2010年に成立した医療費負担適正化法の柱が州に対し、メディケイド(低所得者向け公的医療保険)拡大とそれに伴う追加徴収を許容しているためだ。

 現在は31州とコロンビア特別区がオバマケアを通じたメディケイド加入者拡大を選択している。

 共和党は具体的代替案でまだ合意していないものの、現行システムに代わるものとして支持が広がっている案は、州が総額を決めた補助金の交付を受けてメディケイド加入者の費用を連邦政府と共同で負担するというもの。

 トランプ大統領が厚生長官に指名しているプライス下院予算委員長はかねてからこの案に賛同している。

 カイザー・ファミリー財団はオバマケアの撤廃と、総合補助金交付などを通じた連邦政府のメディケイド向け支出抑制により、今後10年間にメディケイド向けの資金が41%減少すると推定している。

 そうなれば、リセッション(景気後退)時に加入者拡大に対応する州の能力に制限がかかる可能性が高い。

 メディケイドおよび無保険者向けのカイザーのプログラムでアソシエートディレクターを務めるロビン・ルドウィッツ氏は「州の予算に明らかに影響が及ぶ」と指摘。「州は歳入を引き上げ、他分野への支出を減らすこともできるが、簡単な選択ではない」と話した。

 連邦政府からの拠出金が柔軟性を欠けば、州がメディケイドの受給資格を制限、あるいは新規加入を凍結し、対象範囲を狭める可能性も出てくる。

 24日には全米知事協会が議会指導者らに書簡を送り、「州にコストを移転」しないよう嘆願した。

 2015年のメディケイドの総コストのうち連邦政府の負担は約60%、州の負担は約40%だった。

 メディケードの加入者は州の財政が最も圧迫される景気悪化局面で急増し、州に対する連邦政府の拠出額も増える傾向がある。