東証マザーズ市場におけるCEOの学歴データ

■目的とデータについて
本レポートの目的は、1999年11月の東証マザーズ市場開設から、2016年12月末日までに上場(アイピーオー)を行った企業の定量データを分析することで、現在、起業を目指す人、将来的にIPOを目指していくような実務家にとって有益な情報を届けることを目指すものである。

今回は、これまでに東証マザーズ市場に上場した484社(2016年)*の定量データの中からCEOの最終学歴の情報に焦点をあてた。

eol, speeda, 会社四季報, S&P Capital IQ, 東証要覧, 上場時目論見書などを一次ソースとして400社近くの情報を取得し、その上で、会社ホームページなどの公式情報を参照し、さらに大手メディアインタビュー記事、wantedlyやentrepediaなどの比較的信頼度の高い情報源を参照した上で何らかの情報を収集できた企業は、436/484社 (90.0%)となった。上記のソースからデータ収集が困難であった48社については、「Unknown」とし、引き続き情報収集を継続し、収集率を高めることを目指す。

*484社には、市場変更を実施した企業、上場廃止した企業も含まれる。
【公開用】データセット
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1VgGFvLLEw9AOtNcQ4TFyV-2gueK4Pe3JCw8h4eGxXUg/edit#gid=0

■Part1: CEO出身校 Ranking (N >= 3)
【図1】

図1は、3人以上、マザーズ上場企業のCEOを輩出した大学となる。
最も人数が多いのは東京大学の37名で、慶應義塾大学が35名と続く。

【図1-1】

■Part2: 最終学歴の割合

【図2】

図2は、CEOの最終学歴を、大学院、大学、高校、中学、その他(専門学校等)に分けたものとなる。大学卒が71.3%と最大になっている。

東京商工リサーチの調査によると国内の企業(上場、未上場含む)の社長の最終学歴は、最も多かったのは「大卒」の52.4%で、「高卒」(37.5%)、「中卒」(6.7%)、「短大卒」(1.7%)、「大学院卒」(0.9%)となっている。

マザーズ市場に関しては、大学卒と、大学院卒の割合が高く、高卒の割合が少ないことがわかる。注意点として、本データには「Unknown」に分類される、情報未取得のデータが48件あるため、その情報によって大きく割合が変わる可能性が高い。

【図2-1】

不明(Unknown)を高卒未満と仮定した場合、他の高卒未満の数を合わせると99人となり、
出身校としては、高卒未満が最大勢力になると予想できる。

■Part 3: 入学者数別に見るCEO輩出 Ranking

【図3】

図3では、各大学輩出人数/データカバー年数(2016-1999年) を年あたり平均輩出人数とし
年あたり平均輩出人数/大学規模(2016年入学者数)x 100を年度あたりの各大学出身社のIPO確率として算出。

この算出に従うと、東京大学が突出しており、2位に京都大学が続く。Part1との比較で見ると、京都大学、神戸大学、一橋大学の順位が上がっている。また、私大の慶應大学、早稲田大学は順位を落とすことになった。

【図3-1】

【詳細URL】
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1VgGFvLLEw9AOtNcQ4TFyV-2gueK4Pe3JCw8h4eGxXUg/edit#gid=467432848

■まとめ
今回のレポートでは、1999年11月の東証マザーズ市場開設から、2016年12月末日までに上場(IPO)を行った企業の上場時のCEOの最終学歴に関する情報を出した。

単純な集計におけるランキングでは東京大学が37人、慶應義塾大学が35人、早稲田大学が26人となった。しかし、指標に入学者数を重み付けをすると、東京大学、京都大学、慶應義塾大学が上位三校となった。

本件の大きな課題として、本レポートにおける集計データは、45件欠損が生じていることがある。これは全企業が484社であることを考えると10%に近く、この欠損の内容が今回のレポートの結果に大きく影響を与える可能性がある。

東京商工リサーチの調査レポート( http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20160916_01.html )と比較をすると、国内企業のCEOの最終学歴における各項目と、本レポートの結果、特に高卒の割合に差(東京商工:37.5%, 本レポート:10.3%)が出ている。東証マザーズ市場における企業の社長の最終学歴に占める高卒の比率が、全国の企業(上場、未上場を含む)に比較して低くなっているとは考えにくい。従って、欠損値の多くには、高卒が含まれているのではないかと予想できる。今後は、この45件の欠損を減らしていくことで、より精度の高い指標を出していくことを目指す。

琴坂研究室では、東証マザーズ市場の定量データの調査を通し、こうしたレポートを定期的に公開していく。

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作者: 松井理泰
監修: 琴坂将広
問い合わせ先:michimatsui[at]keio.jp

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